【第1回ブックレビュー】『体幹トレーニング20』:長友佑都

 今回はブックレビューの投稿です。これから読んで面白かった本、役に立った本などのレビューを投稿していきたいと思います。

 初回は標題の通りプロサッカー選手の長友佑都さんの『体幹トレーニング20』です。年齢とともに体重が増えてきたことで「何とかしないといけない」と考えていたところ、書店でたまたまこの本を目にする機会があり、値段も税抜きで1000円と安く試しにと思い購入しました。

 結論から言えば、本当に買って良かったと思います。と言うのも、この本に書かれている体幹トレーニングのメニューを実践してみて非常に効くと実感しているからです。今までは筋トレしたりランニングしたり、自分なりに体重増加に歯止めをかけるべく努力はしていたのですが、ただやみくもにトレーニングをしていた感があると今になっては痛感します。しかし、この本を読んで具体的に何のためにどこの筋肉を鍛えているか、それを把握してトレーニングが出来ているように思います。

本書の構成は以下の通りです。

・Chapter1 長友式体幹トレーニング5つのポイント

・Chapter2 長友式体幹トレーニング【ストレッチ編】

・Chapter3 長友式体幹トレーニング【実践編】

・Chapter4 長友式体幹トレーニング【トレーニングメニュー編】

・Chapter5 長友式体幹トレーニング【超実践編】

・おわりに

「はじめに」では、長友選手の体験談を交えた体幹トレーニングの効果や方法について書かれています。ここでこの本の体幹トレーニングで鍛えられる筋肉についてのイラスト入りの説明があります。インナーマッスル(「表層ではない、骨格や内臓に近い深層にある小さな筋肉群」)とアウターマッスル(「大胸筋などの体の表面に近い部分にある筋肉群」)をバランスよく鍛え、「連動する“使える筋肉”」にすることが大事とのこと。またフィジカルを鍛えるだけではなく、メンタル面やトレーニングについて頭を使うことの大切さも書かれています。実際にサッカー日本代表としてヨーロッパの一流クラブでも活躍されている実績のある長友佑都選手の言葉だけに説得力を感じます。

Chapter2からChapter3の中では、10のストレッチメニューと20の体幹トレーニングのメニューが紹介されているのですが、以下の目的に合わせてメニューを組み立てられる図が載っています。

・「ダイエットしたい」

・「腹を凹ませたい」

・「腰痛を解消する」

・「キック力を上げる」

・「ぶれないカラダ」

・「投げる力をつける」

・「姿勢をよくする」

・「疲れないカラダ」

私はその中でも「腹を凹ませたい」と「姿勢をよくする」のメニューを行っています。実際にメニューをやってみて、今まで意識したことのないインナーマッスルが鍛えられている感覚があり、“効いている”感じが凄いです。またどこを何のためにトレーニングしているのかが頭に入っている分、モチベーションも上がり継続が出来ていますし、また先に書いた“効いている”感じが楽しくもあります。

感動のあまり家族や知人に勧めてみたのですが、好評です。ただ体幹トレーニングやインナーマッスルという言葉を使うと、ボディービルダーのように鍛えることをイメージしてしまうようなので、その辺りの伝え方は」要注意かもですが…。

 巷には様々なダイエット本、ダイエット方法が溢れ返っている感がありますが、私個人としては長友佑都選手の『体幹トレーニング20』が合っているようです。今までのスポーツ歴は長いですが、身体やトレーニングのことにそこまで詳しいわけではありません。しかし、感覚的に“効いている”ように思います。

そして、長友佑都選手のこの本の中で「使える筋肉」という表現をされていますが、実用的なものこそ美しいのではないかとも思います。アウトドアブランドのモンベルのページに以下のような文章が載っています。

1975年、辰野勇は2人の山仲間、真崎文明、増尾幸子と共に「株式会社モンベル」を設立しました。
以来“Function is Beauty(機能美)”と“Light & Fast(軽量と迅速)”をコンセプトに商品開発を行っています。モンベルの歴史は、近年のアウトドア用品の進化の歴史といっても過言ではありません。(太字は引用者) 

(モンベル公式サイトから→https://about.montbell.jp/ )

また「堕落論」で知られる坂口安吾も「日本文化私観」の中で、自身が見た小菅刑務所とドライアイス工場と軍艦についての「美しさの正体」について、「美しくするために加工した美しさが、一切ない。(中略)『やむべからざる実質』がもとめたところの独自の形態が、美を生むのだ。」と書いています。

実用的なものこそが美しい、そんなことを長友佑都選手の『体幹トレーニング20』のメニューを読み、メニューを実践して改めて考えてしまいました。

 何だか最後の方は小難しくなってしまった感もありますが、『体幹トレーニング20』のブックレビューでした。

書誌情報→『『体幹トレーニング20』』・長友佑都著・KKベストセラーズ・2014年4月5日発行

*KKベストセラーズのHPを検索してみたのですが、この本について掲載されていませんでした。

本を贈るって、意外と難しい!?

前回の投稿よりだいぶん日にちが開いてしまいました、今回のエントリーは4月19日(水)の内沼晋太郎さんトークイベント、「本を贈ることについて語るときにぼくの語ること」に参加してきたので、そのレポートを行いたいと思います。場所は日比谷図書文化会館です。

 

先日、日比谷図書文化会館に立ち寄った際、たまたまチラシを目にして知った今回のトークイベント、参加してきました。人が人に本を贈る、またはすすめる際にバイアスがかかるのではないか、そしてそのバイアスとどう付き合っていけばよいのか、という問題意識を抱えていた自分にとって、何かヒントのようなものが得られるのではないかと思って申し込んだ次第です。ちなみに今回のトークイベントは4月23日の「サン・ジョルディの日」に合わせたテーマだったようです。

 

内沼晋太郎さんは、店内でビールが飲めて、毎日イベントを行っている、下北沢の本屋B&Bの共同経営者として有名かと思います。ちなみにチラシの肩書は「numabooks代表、ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター」。以前に読んだ内沼さんの著書、『本の逆襲』(朝日出版社・2013年12月)では、内沼さんの様々な本にまつわる活動が書かれていて、とても面白いなあと思ったことを記憶しています。

 

会場は日比谷図書文化会館、定員60名のところほぼ満席といったところでしょうか、なんとなくですが出版社系の方々が多くいらっしゃっていたような印象を受けました。席には日比谷図書文化会館のイベント案内と、本日のレジェメ。レジェメには「1つの引用」と題して、レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」の一節の引用がありました。その引用は、今回のトークイベントの肝とリンクする一節になります。

 

トークイベントの前半は、内沼さんの今までから現在までの活動の紹介でした。文庫本を紙で包んでその一節だけわかるようにしておく(葉書としても出せる)「文庫本葉書」や、書き込みができる書店の「WRITE ON BOOKS」といった取り組みの紹介、そして本屋B&Bを立ち上げるまでの経緯、本屋B&Bの特徴などをお話しいただきました。

 

そしていよいよ後半部、「本を贈る」ことについてのお話です。内沼さんは、本は人を傷つけることがある、本は相手の時間を奪う、かといって誰も傷つけず時間も取らない本はほとんどつまらない、絶対にぴったりだと思う本は読んだことがある可能性が高い、という4つの理由を挙げて、本を贈ることは一つの暴力のようなものではないか、というようなことをお話しされました。個人的にも、確かにそうかもしれない、と思うところがありました。本をすすめるというのは、ある意味ですごく傲慢なことではないのかと考えていた自分にとって、「本を贈る」という行為になってしまったらそれはもう暴力のようなものではないかと。

 

またその上で、「本を贈るときの最低限のマナー台詞」としてのお話もありました。「あなたに合うかはわからない」、「もし持っていたら誰かにあげてください」、「読まなくていいし、感想は言わなくいいから」という3つです。確かにこの3つの言葉が添えられていれば、本を贈られた(すすめられた)ときに、随分と心理的に楽になるなあと思いました。

 

そして本を贈る際のテクニックとして、「本を贈り物の『従』とする」、「一度に読み切れないくらいたくさん贈る」、「相手の本棚を見て話をする機会を作る」の3つをご紹介されました。

 

そして、結論として「本を贈ることは難しい」、そして補足のような形で「しかし当たれば素晴らしいと」。

 

確かに内沼さんのおっしゃる通り、本を贈るという行為は凄く難しいことではないかと改めて考えさせられました。それは、本は一つの価値であり、またその価値を巡って読者の一人一人が違う価値を見出す、という個人的に以前から思っていたことと突き合わせると。それを贈り物という形にするのはまさにある意味で価値観の押し付けであり、また暴力のようなものだと痛感させられました。世の中には本当にたくさんの本が存在しますが、その中でどの本を選ぶのかはその人の自由です。しかし「本を贈る」ということになると読者にとって選ぶという余地がなくなってしまします。また先述したように本は時間を奪います。

 

とここまで書いてみて、なんだか少し悲観的な内容になってしまいましたが、質疑応答で明るい話題が出たので紹介したいと思います。それは本を贈る人が魅力的で素敵な人だったら、というものです。確かに本が人を介したとき、介した人が魅力的で素敵な人であれば、本の意味合いも変わってくるのではなかと思いました。

 

また自分からも一つ質問をさせていただきました。それは「本を選んで贈ったりすすめたりする際にはバイアスが生じると思うのですが、そのバイアスと上手く付き合いにはどうすればいいのか」という主旨の質問でした。その問いについて内沼さんに、「書評やPOP自体を面白く、周辺を楽しくする」という内容の答えをいただきました。「バイアスが掛かることを楽しむ」というように理解しました。バイアスをネガティブに捉えるのではなく、ある意味で開き直ってポジティブに楽しむ、ということでしょうか。そう考えると本を贈ったりすすめる際に様々なアイディアや工夫を施すことを心掛けることが楽しめるように思いました。

 

今回のトークイベントに参加してみて、本を贈ることの難しさを改めて、痛感しました。また本を贈る、すすめる際にはマナーなども必要になってくるなとも。気軽に考えていたことが、実はこんなにナイーブに考えなければいけないということが驚きでもありました。

配布レジェメにあったレイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」の一節の引用ですが、ここまでこのエントリーをお読みいただければ、「愛について語るときに我々の語ること」を実際にご一読されれば引用の該当箇所はおわかりになるだろうと思います。ずるい、と言われるかもしれませんが、短編小説ということなのでぜひ読んでいただければと。自分もこれから読みます。

 

内沼さん、日比谷図書文化会館の方々、貴重なお話し、機会を本当にありがとうございました。