課題解決を謳うなら、レフェラルサービスでは?

新年あけましておめでとうございます。なんだかんだで昨年は職場を4つ経験しましたつじです。

何故に職場を4つも渡り歩いたかというと・・・、そんな事をこんなオープンな場所で書けるわけないではないですか(笑) 今いる場所で場所で出来るだけのことをやりつつ、自分が思うサービス、図書館像を具現化すべく努めていきたいと思います。

最近は公私ともに忙しいこともあり、図書館について自分の中の根本的な理想像(たとえそれが漠然としていても)が曖昧になってしまっているなと痛感しています。それもあってのこのエントリーです。とりあえず一つ前々から思っていたこと、考えたことを書き散らしますので、至らない所があっても諸々ご容赦いただき、温かい心で読んでいただけると幸いです。

「課題解決」と図書館について

 「課題解決型」の図書館などと、昨今よく目にするフレーズですが、自分には今一つピンときていません。2014年の夏の司書講習で、「図書館員は医療相談・法律相談・人生相談」に乗ってはいけないと教わりました(「なぜですか? 法的根拠は「あるのですか?」と教員に質問しましたが、曖昧に濁されました・・・、いつか調べねば、自力レファレンスだ・・・)。そんな無力な図書館員が利用者の課題なんて解決できるのか。資料だって健康情報の49の棚に行くと、医療情報の本の中にも怪しいものもたくさんあるし、3類の法律書を図書館員は読みこなせるか、また人生相談に乗ってはいけないのであるならば、鎌倉市図書館の話題になった「死にたくなったら図書館においで」という旨のツイートはグレーなのではないかと悶々としています。つまりは図書館に課題解決なんて現状で出来るのかよっ! という突っ込みですね。でもでも突っ込んでいるばかりではありませんよ、課題解決というならば、もっとレフェラルサービス(他機関紹介サービス)に力を入れるべきではないかと考えています。法律情報や医療情報や人生相談に関する相談を受けてはいけないのなら、例えば法テラスや地域の医療機関等につなぐ(これも最近の図書館のキーワードでしょうか)ことによって、より課題解決に近づくのではないかと考えています。そのためには図書館の外に出ていくこと、異業種の世界へとつながりを作っていくことが必須要件となりますね。

と、こんなことを思ったのも実はビックイシュー基金で働いていらっしゃる方のお話を聴く機会があったからなんです。ビックイシュー基金さんでは、「路上脱出ガイド」という小冊子を作成されて、様々な場所で配布されているとのこと。その冊子は、路上生活者がそこから脱出するにあたっての方法や支援してくれる機関などをまとめたものです。公共図書館と路上生活者、よくトラブルになりがちだと聞く事案ですが、図書館が路上生活者にビックイシュー基金さんを紹介(レフェラル)することはまさに課題解決じゃないかと思った次第です。

「課題解決」という言葉が声高に叫ばれるようになったのは、菅谷明子さんの『未来をつくる図書館』(岩波新書)の影響があったのかなと推測していますが、どうなんでしょうか・・・。『市民の図書館』、それ以降に明確な指針を打ち出せていなかった日本の図書館会(とりわけ公共図書館)にとって、ニューヨーク公共図書館の展開しているサービスは新たな目指すべき指針に見えた、というのは私の推測でしょうか・・・? もう一度書きますが、「課題解決」というならレフェラルサービスに力を入れるべきではないでしょうか?

 

何な偉そうなことを書いてしまいました。では実際に自分がどう動いていくのか、それはまた次回にでも書きたいと思います。明日は仕事始めなもので、今日はこれくらいにしておきます。

図書館の名刺と、少しのもやもや

図書館員は名刺を持つべきだ! という主張を発信されている方々をSNSやブログなどでお見かけするここしばらくですが、結論から言えば私も個人名刺でもよいから名刺を持つべきだと思います。今は職場の方で名刺を作ってもらえる立場となり、これは大変に喜ばしいことなのですが、それとは別に個人名刺も作ろうかと考えています。本当ならもっと早く、今の職場に名刺を作ってもらう以前に、個人名刺を作っておくべきだったとつくづく感じています。昨夏の司書講習で司書の資格を無事に取得し、それで堂々と「司書」という文言を載せることが出来たのだから、もっと早くに作るべきでしたね。そこで作らなかったのは自分自身の怠惰でした(また名刺作るだけのお金もなかったという事情もありますが・・・)。

ではなぜ個人名刺を作るのか・・・、それはある組織に所属している自分とは別に、一人の図書館員としての存在意義を名刺によって示したいから、というのがまず一つ目の理由。もう一つは、SNSやメールアドレスなどの連絡先を相手に手渡すという実用的な意味が二つ目の理由(今の職場で作ってもらっている名刺はプライベートな情報は載っていないので)。

一つ目の理由は、自分自身のブランディングという側面もあります。世知辛い話をすれば、この図書館を取り巻く厳しい雇用状況の中で一つの職場・組織に勤め上げるのはなかなかないこと。組織が変わっても、自身が図書館に携わる者としてのアイデンディファイが出来る信念のようなものが必要かと思います。それを具現化したものが個人名刺なのではないかと思うのです。その信念のようなものを様々な人たちに手渡すことになるのですから、これは自分自身のPR・ブランディングになるのではないかと考えます。

二つ目の理由については、本当に言わずもがなです。名刺交換の後に連絡を取り合う手段を残しておくという至極に実用的なことですね。以前にこのブログでも紹介した、鎌倉幸子さんが書かれた『走れ! 移動図書館~本でよりそう復興支援~』(ちくまプリマー新書)に、「記録されないものは記憶されない」という一文がありますが、名刺についても言えることだと思います。

さて、いざ個人名刺を作るとなってデザインなどいろいろと考えることがあって悩みます。紙は、書体は、イラストとか入れるの、とか考えるときりがないですね。実用的な面では、SNS(主にFacebook)の連絡先は載せるとして、それに個人のメールアドレスでしょうか。あとは何か自分を表現するキャッチコピーのような肩書きが欲しいです(笑)

個人名刺については詰めていきたいので、作ったらまたこのブログで報告したいと思います!

また、名刺について印象的というよりもショックだったエピソードを。昨秋から年初めにかけて契約社員という立場で図書館員をしていたのですが、そこで会社の方に「名刺は作ってもらえるんですか?」と質問したところ、「その立場で名刺を作ってほしいと言われたのは初めてだ」と言われたこと。アルバイトではなく一応は契約社員だったので作ってもらえるのかな~、なんて甘かったですね。と言うより、他に俺と同じ立場で働いている人はいっぱいいるのに、その人たちは名刺が欲しくないの? と少し不思議な感じでした。そして、後日に同じ立場で働いているに名刺に話を振ってみたところ、「あー、使わないし要らないですよ~」という返事だったのは少しビックリしました。そういう人もいるのか、そういう人がほとんどなのかどっちなのかはわかりませんが。

そして、最後にもやもやしていることを自戒を込めて書きます。司書講習の最中に、たまたま一緒になった男子大学生の「図書館で働きたいなあ」という、呟きが妙に心に残っているのです。その原因は何だろうと考えるに、その男子大学生にとって「図書館で働く」ことがゴールになってしまっていたことなのではないかなと思います。「図書館で働きたい」という人は世にたくさんいるでしょう。でも「図書館で働く」ということ自体で言うなれば、今の時代はそんなに高いハードルではありません。時給900円くらいのアルバイトなら下手したら司書の資格などなくても働くことは可能です(実際に自分はそうでした)。そこでもう一歩、二歩と突き詰めて「図書館でどうやって、どんな風に働きたいのか?」という意識を持つのか、ということが問題になってくるように思います。「図書館で働く」ことをゴールに据えるのではなく、せめてどんなサービスを自身が提供したいのか、出来るのかを模索・実践していく必要があるかと考えています。

自分自身もまだまだ至らないところもありますが、その問題意識を忘れずにいきたいと思います。

またまた長くなってしまいましたね、ここまで読んでいただきありがとうございました。

ニキ・ド・サンファル展@国立新美術館に行ってきました

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またまた投稿に日にちが経ってしまいましたね、つじです。

今回は趣向を変えて昨日に行ってきたニキ・ド・サンファル展のことなど、気ままに書いてみようと思います。

いや、美術館とかホントに久々ですよ、3年くらい前に同じく国立新美術館で開催されていたシュルレアリスム展以来でしょうか。いろいろと仕事も趣味も図書館尽くしな感じだったので、たまには美術館の空気に触れてリフレッシュを図ろうというつもりでした。

哀しいかなアートに関してはたいした素養もなく、またボギャブラリーも乏しい自分ですが、まあ気軽なブログということでお許し、御笑覧いただけると幸いです。

ニキ・ド・サンファル(以下はニキと表記)、ポスターなど見ていた感じだと若い方だと思っていたのですが、もう故人なのですね。30代か40代くらいの前衛アートの方だと思っていたら1930年生まれとのこと。それにしては作風がポップだなあという感じですね。(ウィキペディアのニキ・ド・サンファルの項目はこちら→こちら

ニキの生涯に沿って作品が展示されていくのですが、初期の作品には銃やピストルといったモチーフが頻繁に登場します。オブジェなどの作品の中に、また映像でスクリーンに映されていた(おそらくインクか絵具が入った)銃弾を、壁のオブジェにライフルで撃ち込んでいくパフォーマンスなどなど。当時の時代背景や、ニキの心境などから「風穴を開ける」というモチーフを感じ取りました。

またその後には「ナナ」シリーズと呼ばれる作品群の展示があります。「ナナ」はフランス語で“娘”というような意味があるそう。それらに表現されてる物は、豊満な肉体を持ってはいても、どこかに傷や不安定なものを抱えていたりと、ポップでカラフルな色使いの中にもニキの問題意識を感じさせます。

晩年にニキはヒンドュー教などの精神世界に触れ、それらをモチーフとした作品も創り出します。その中でもひときわ存在感を示していたのは下の写真の「ブッダ」です(なお、この作品は指定された場所からなら撮影は許可されています)。

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そして、展示の最後には下の写真にある作品が迎えてくれます。

「観に来てくれてありがとう」というニキのメッセージを感じてしまうのはちょっと感傷的でしょうか(笑) この作品も撮影は許可されています、念のため。

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展示を観たあとに、「こんな作品をつくるのってどんな心境なんだろう?」というようなことを一緒に見に行った人に聞いてみました。と言うのも、自分は絵を描いたりするのが本当に苦手だったので、アーティストと呼ばれる人たちが作品をつくるときはどんな心境、心持ちなんだろうかとずっと気になっていたからです。

するとちょっと真剣な声音で、「無心でやってるんじゃないの。つくりたいからつくってるんじゃなくて、表現せずにはいられないのではないのかな。なにか抱えてる、吐き出したいものがあってそれを外に出すためにやってる」と言われました。そして、それは自分がこうやってブログを書いているのと構造的には似ている、っと。それがどういう形を取るかが違うだけなのではないか、と。

それを聞いて、ものすごく腑に落ちた感じが自分の中にありました。そうか、そうなんだなって。自分も無意識にというか、気が付いたらこんな風にブログ書いてるし。一応お断りしておくと、あくまでも構造的な類似であってレベルの問題ではありませんよ(笑)

良い時間をニキ・ド・サンファル展にて過ごすことが出来ました。美術館もたまには行くべきですね。本当に良い気分転換になります。

今後も無意識のアウトプットを様々なカタチで起こしていきたいなあと思う初秋の休日でした。頑張ろう。

【付記】ミュージアムショップと国立新美術館のアートライブラリーも素敵でした。ライブラリーショップとか展開すれば面白そうだし、需要はありそうなんだけどなあ。

司書講習フォローアップのススメ~その1~

こんばんは、久々の更新になりますね、つじです。

昨夏の司書講習で無事に司書の資格を取得し、その後に、自分自身の至らなさを身に沁みて感じることもありながらも、本当に様々な紆余曲折を経て、今現在は都内の図書館で働いています。昨夏に司書の資格を取ったといっても、まだまだここからがスタートだなと思ったのはよく覚えています。閉講式で先生方も口々におっしゃっていましたしね。司書という資格だけでご飯を食べられる時代でもないですし、やはりその後のフォローアップが欠かせないなとは今でも肝に銘じています。

最近は「司書講習」というワードでこのブログがわりと検索されているようなので、そこで司書講習の後のフォローアップのススメを書いてみたいと考えました。余りプライベートなことは今のところここでは書かないつもりなので、どんな本を読んだか、どんな研修を受けたか、など等の紹介をぼちぼちしていきたいと思います。

ちなみに明治大学での司書講習では、菅谷明子さんの『未来をつくる図書館ーニューヨークからの報告ー』(岩波新書・2003/9/20)と、猪谷千香さんの『つながる図書館ーコミュニティの核をめざす試みー』(ちくま新書・2014/1/7)はレポートの必読文献でした。おそらくレポートの出来がどうこうよりも、「司書の資格を持つんだったら、最低限この2冊は読んどかないと!」という先生からのメッセージを個人的には感じました。十年ほどの出版年の違いはあれど、先駆的な図書館の在り方を提示したこの2冊の本は、与えたインパクトの大きさを鑑みても図書館に携わる人間なら、確かに最低限に抑えておくべき本だと個人的にも思います。まあ『未来をつくる図書館』が出版された当時は図書館の世界にいなかったので、伝聞でしかないのですが・・・。

さて、この2冊ではアメリカと日本、各国の先駆的な試みをなす図書館が紹介されています。この2冊を読めば、ニューヨーク公共図書館がどのような取り組みをしている組織なのか、また日本においても様々な全国の様々なカタチの図書館を必然的に知ることになります。それは、これからの図書館像を語る上で議論をする前提条件のようなものを知るということなのだと、個人的には思っています。

この2冊の他に図書館本で読んで欲しいものは何冊もあるので何点かピックアップしたいと思います。

まずは鎌倉幸子さんの『走れ! 移動図書館~本でよりそう復興支援~』(ちくまプリマー新書・20014/1/7)です。東日本大震災の際の、本を通して、被災地での移動図書館活動を通しての復興支援の取り組みを書いたこの本は、様々な切り口で読むことが出来る本です。ボランティア、被災地支援の在り方、本のチカラ、など等。震災直後の緊迫した状況から、被災地の様子、そしてそこから移動図書館プロジェクトを立ち上げるまでのプロセスが語られます。その過程、また被災地での移動図書館活動の記録の中で、また鎌倉幸子さんが所属されているシャンティ国際ボランティア会の格言のような言葉の数々に触れ、なにか図書館の本質に触れたような感触を得た記憶が残っています。

次は柳与志夫さんの『千代田図書館とは何かー新しい公共空間の形成ー』(ポット出版・2010/3/2)。新しくリニューアルした際の千代田区立千代田図書館を開館させるまでのプロセスが、かなり強気な口調で書かれています。リニューアルする千代田区立千代田図書館という新しい「公共空間」を作り出すために尽力する著者と、その過程。こんなにストレートに書いてしまって大丈夫かと心配になるくらい、刺激的な1冊でした。司書であるという意識を高く保つというという意味でも、読んでおいて損はない1冊かと。著者の熱い意気込みが伝わってきます。

読んだ本の紹介は今回はこの辺りで。久々に少しまとまった量の文章を書くと疲れますね(笑) でも最後に読んだ本以外で2点書かせてください。

一つは明治大学リバティーアカデミーで開講されている「図書館員のためのブラッシュアップ講座Ⅻ」(https://academy.meiji.jp/course/detail/2017/)です。隔週くらいの割合で、全15回の講座です。図書館会の先端を行く方々の講義を受けられるだけではなく、受講者同士の横のつながりも持つことが出来て、参加してみて本当に有意義でした。今年も秋から来春にかけて開講予定とのことなので、参加してみることをおススメします。

もう一つは、FacebookをはじめとしたSNSを使って積極的に情報をキャッチしていくこと。SNSをやっているかどうかで、同じ図書館員であっても、研修や講演会などの情報に対して、かなりの情報格差があると個人的に痛感しています。情報を扱うプロであるはずの図書館員として、様々な情報をキャッチし、つながりを作っていくためにSNSを駆使するということは大きな意義があると考えています。

とりあえず今日はこれくらいで。また余力があるときに更新したいと思います。

日本文藝家協会主催シンポジウム 「公共図書館はほんとうに本の敵?」に参加してきました

こんにちは、先日2月2日に新宿紀伊國屋サザンシアターにて行われた標記のシンポジウムに行ってきました。そのレポート、雑感などを。長くなりそうですがお付き合いいただければ幸いです。

刺激的なタイトルのこのシンポジウム、登壇者は佐藤優氏、林真理子氏、猪谷千香氏、菊池明郎氏、根本彰氏、石井昂氏の六名と、司会は植村八潮氏。やはり日本文藝家協会主催であることを感じさせる顔触れ。

このシンポジウム、どういった趣旨で開催されたのかと配布された資料に目を落とすと、「出版産業の現状は、まさに危機的です」と出版物の売上の落ち込みの現況、しかし公共図書館の貸出冊数は増加している、だが「そんな公共図書館も、実は出版界と同じく危機にあると思われ」ると、そして「書店・作家・出版社、すなわち売り手・書き手・つくり手と、公共財の有効利用者たる公共図書館が協力・共存する未来はえがけないか、それぞれの立場からの考えを知りたい、そのために話し合いたい、そして日本語表現文化の未来像をイメージしたい」とあります。

個人的な問題意識としては、エンドユーザーたる読者のことも含めての問題意識をもって臨んだので、その辺りが少し腑に落ちないなと思いつつも、話の落とし所がどこになるかに留意して、シンポジウムを聴くこととなりました。

まずは、登壇者各々の挨拶。どんなことを話されたのかを以下に簡単に。

石井氏→公共図書館を敵だと思ったことはない。

根本氏→貸出至上主義にはそこまで肯定的な立場であるわけではない。

林氏→本屋の娘としてこのシンポジウムに臨んだ。(出版業界と公共図書館)同じ船に乗っているもの同士。

佐藤氏→新自由主義、反知性主義が悪い。

猪谷氏→図書館と出版業界が手を取り合ってという実感。

菊池氏→出版社として言うべきことは言わないといけない。再販制度について。

その後は石井氏に話を振る司会の植村氏。石井氏は公共図書館におけるベストセラーの複本問題に言及。中堅作家の増刷がかからない、また無料で読めるという感覚を利用者が持ってしまっている。 新刊の本は貸出まで6ヶ月待って欲しいという提言。 そして図書館は出版社に理解をと。

根本氏がそれを受ける形で、図書館の目的は多様であるにも関わらず、日本の司書の専門性は低い、それは資格は簡単に取れるし養成の過程もしっかりしていない、行政評価が単純化し過ぎていて貸出冊数はその単純化された指標の大きな一つ。

そこで指定管理者制度に話が。林氏は武雄市図書館に言及、はじめは良いイメージを持っていなかったが、実際に行ってみると良い印象を持った。地元の中学校のクラスでは全員が武雄市図書館に行ったことがあったと。

また登壇者から、首長によって「公共」というものがコロコロ変わって良いのかという指摘も。

そこで佐藤氏、大学時代の同志社大学の神学部図書館のエピソードや、図書館で廃棄される貴重資料の話。公共図書館の在り方がよくわからない。

根本氏がそれに関して公共図書館と大学図書館のコレクション構築の違いもあると。公共図書館における予約について、市民・素人が関わることの是非、またマネジメントが自律的ではないと可能ではないという話。それを受けて、植村氏は市民の圧力が公共図書館をつくってしまうのではないか、司書の自律性が危ういと。

ここで猪谷氏に全国で先進的な取り組みを行っている図書館の事例紹介。武蔵野プレイス、まちとしょテラソ、まちライブラリー、千代田区立図書館など。また市民の図書館リテラシーについて。その流れで根本氏における海外の図書館の事例紹介。

そして、石井氏から公共図書館における「ベストセラー寄贈のお願い」についての苦言。住民の質のレベル、理想の図書館とかけ離れていると。そこで話を振られた佐藤氏、拘置所の図書館が究極の寄贈図書館だというお話。

最後に理想の図書館とはどんな図書館か? という問い掛けに登壇者各々が答える形を持って終わりに。

菊池氏→伊万里市民図書館、ビジネス支援、リテラシーが高い。

猪谷氏→子どもの学びを取り巻く格差、それを図書館で埋めるべき。長い目で見た、本の文化を作り上げる図書館。

佐藤氏→久米島の高校図書館。

林氏→家から近い、人が少ない、買えない本がいっぱいある、うるさいおじさんおばさんがいない。

根本氏→学校図書館を整理すべき、読書市民の形成。

石井氏→版元を助ける図書館。新刊の貸出を6ヶ月待ってくれる図書館。

手元のメモをもとにシンポジウム全体の流れを追ってみたのですが、以下に雑感を幾つか。正直に言ってしまえばモヤモヤの残るシンポジウムでしたね。

・日本文藝家協会と公共図書館、どちらが主語なのか最後までよくわからなかった。シンポジウムのタイトルだけ見れば公共図書館なのでしょうが、話されている内容を考えるとどうやらそうでもない感も。

・公共図書館と出版業界、林氏が「同じ船に乗ったもの同士」ということを言っていましたが、両者を結び付ける根拠が経済的に厳しいということ以外に見つけられなかった。その点だけに依拠して「同じ船」という問題意識を持っているとすれば、やはり違和感を持たざるをえないと。

・配布資料には、貸出至上主義に走らない新しいタイプの公共図書館があるが僅かに1%に満たないとある、にも関わらずその1%に満たない図書館を猪谷氏が15分余りも紹介したのは何だったのか、その位置付けがよくわからなかった。このシンポジウムの主語が公共図書館だとしても、問題は99%の公共図書館の方にあるはずなのに。

・話し合うというより、出版業界からの公共図書館への一方的な申し送りに感じた。図書館の人間として登壇した猪谷氏と根本氏、共に厳密に言えば公共図書館の人間(当事者)ではない。要は公共図書館を主語とした場合でも、その声を代表する人間として適当だったのかどうか。

以上雑感です。質疑応答もなく、一方的な感は否めなかったですが、一公共図書館に関わる人間として屈していられないですね。というより、対立軸を作ることより、もっと建設的な話をしてほしかった。利用者の図書館リテラシーを上げる云々のところなど、その格好の糸口だったと思うのに…。

なんかスッキリとはしませんが、とりあえずはここまでで。手元のメモをもとに書いたので、事実誤認などあればご指摘等いただければ。

下北沢、本屋B&Bに行ってきました!

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久しぶりの投稿になります、ブログは更新出来てはいませんでしたが、元気にやってます、辻です。

さてさて、昨日の1月8日、下北沢の本屋B&Bにて行われたイベント、【磯井純允×河村奨「自分の図書館のつくりかた」 『まちライブラリーのつくりかた』(学芸出版社)刊行記念 】に行って来ました! 恥ずかしながら初の本屋B&B。昨年末に物凄く行きたいイベントが本屋B&Bであったのですが、どうしても予定を動かせずに無念の想いがあっただけに、今回行くことが出来て感慨もひとしお。このトークイベントに参加したモチベーションというのは、まちライブラリーやリブライズに関心があるのは勿論のことですが、更に具体的にやってみたいことがあって、それは大学時代に所属していたワンダーフォーゲル部にリトルライブラリーを作りたいということ。ワンダーフォーゲル部に所属していた現役の頃を鑑みるに、部員が個人個人でアウトドアに関する本を読んでいたりはしたのですが、その辺りの情報の共有などがなかなかなされていなかったので、そこを繋げる仕組みを作れば部の活性化が図れるのではないかと。

そんな意識を持ちながら参加したイベントだっとのですが、結論から言えば予想以上に楽しく、有意義で、持ち帰ることが予想以上に多いイベントでした。

まずは磯井さんの自己紹介からスタート。今現在に至るまでから、まちライブラリーを立ち上げるまでの経緯などをお話いただきました。その中で印象的だったフレーズは「顔の見える関係」。そんな小規模で普通の人同士が学び合うことが大事なのだと。

続いては河村さんからリブライズの紹介。河村さんのお話の中でも「何でこんなに人と会っていないんだろう?」という、磯井さんの問題意識とリンクする部分も。リブライズは「~すべての本棚を図書館に~」ということを目指すサービスですが、それは表の顔で…(以下は伏せておきます・笑)。そしてやはり遊び心がすごいなあと、改めて感じました。

続いて磯井さんから全国各地のまちライブラリーの紹介。大阪府立大学や伊丹市立図書館、奥多摩の旧小河内小学校や、岩手の森の図書館などをご紹介いただきました。「ワークショップを通じて」、さらには「本を持ち寄って本棚を作る」などヒントになりそうなことがたくさん。色んなまちライブラリーがあって素敵でした。またマイクロ・ライブラリーサミットについてのお話も。

そして話は佳境へ。全国に公共図書館は約3000、それに対して郵便局の数は約20000とのこと。図書館もそれ位の数があれば、社会の公共財として認識してもらえると。そのためにブックスポットを可視化することが大事で、リブライズはそのことに関して大きな役目を担ってくれているとのお話。まだ可視化されていないブックスポットを可視化していくこと、そしてそれが繋がれば個人のインフラから社会のインフラになっていく。図書館とは‘時空’を超えて本を届けるという大事な役目がある。しかしアーカイブに偏っていてはダメで、それは貯まったものを引き出すのはあくまでも人間であるからだと。図書館の存在意義について、改めて考えさせられましたね、正直。図書館の本質みたいなところへも話が及ぶとは思っていなかったので、嬉しい誤算でした。

そして質疑応答では「まちライブラリーを作りたい、そのために周りを巻き込むんで賛同を得ていくにはどういった方法や突破口がありますか?」という旨の質問をさせてもらいました。そのためには、あくまでも自分の許される小さなスケールで「勝手にやる」こと、そうしてニーズがあれば自然と普及していき、少しずつ「勝手にやれる」範囲が増えていくと、御二方から親切なご回答をいただきました。丁寧にお答えいただき、感謝です! 今、自分がやってみたいことの一つである、ワンダーフォーゲル部にリトルライブラリーを作るための最初の手掛かりが得ることが出来たように思います!

磯井さんと河村さんが、本当に楽しそうにお話されていたのも、とても印象に残りました。楽しむこと、また遊び心も大事だなあ、と改めて感じることが出来ました。

下北沢の本屋B&Bでの、刺激的で楽しいひととき、本当にこのイベントに参加出来て良かったです。また、B&Bに行ってみたいですね。また、ワンダーフォーゲル部にリトルライブラリーを作ること、頑張ってみたいと思います!

お久しぶりです!

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お久しぶりです、ご無沙汰していましたつじです。

最近更新が滞っていましたが、元気にやってます!

司書講習が終わり、また司書資格も無事に取得出来まして(わー、パチパチパチ!)、今は都内の図書館にて働いています。まだまだ現状には満足していない、また満足してはいけないのですが、とりあえずは図書館司書という肩書きを引っさげてのスタートを切ることが出来ました。地道な積み重ねが大事だと考えるこの頃です。

菅谷明子さん×猪谷千香さんのクロストークを聴いて自分なりに考えたことや、図書館総合展の参加二日目の模様など、書かねばならないこともあるのですが…、今回は宣伝です(唐突…!)。

というのも、来週の月曜、12月15日の19時から船橋の船橋みらい図書館にてお話をさせていただきます! Facebook上ではイベントページが立ち上がっていますが、こちらでも宣伝を、ということで。そして下に載せたのが船橋みらい大学のページです。

http://funabashi.future-u.net/?p=646

図書館の世界に入って一年半、司書資格を得たばかりの駆け出しに何が話せるのか、それがどの程度まで聴いていただく人たちに届き有意義なものになるのか、まだ自分でもわかりません、正直に言って。でも、駆け出しであるからこそ、話せることもあると思うのです。この一年半余りに考えたこと、動いたこと、感じたこと、今までとこれからについて、真摯に精一杯お話させていただくつもりです。

もし、このブログをご覧になっていて、参加してみたいという方がいらっしゃれば、是非おいでください。Facebookページ以外でも宣伝出来ればなと思い、この度に投稿させていただきました。

が、頑張りますからっ!!

第16回図書館総合展に行ってきました! (参加第一日め)

こんばんは、ブログは久々の更新になりますね、ご訪問ありがとうございます。

第16回図書館総合展@パシフィコ横浜に参加してきました。明日も参加しますが、今回足を運んでみて得た「気付き」やヒントなどを備忘録的に記しておきたいと思います。

・キハラ(株)さんのブース。歴史的な図書館用品が博物館のように展示されていました。というより本当に博物館! タイプライターやカード目録、またそのカード目録を収納する棚など。社員の方にお話を伺うと、昔の司書はカード目録に記入する際に字体までも訓練していて、目録を一つ作るのも職人芸だったとのこと。テクノロジーは進歩してカード目録は一般的に殆ど使われなくなってしまっていますが、字体を揃えるなどそんなレベルまでトレーニングしていたとは驚きました。カード目録を自然な形で状態を元に戻すカード用の加湿器もあって本当にびっくり。先人達の熱意を受け継ぎたいものだと痛感。また、オリジナルのマスキングテープなど、図書館総合展でのグッズも豊富にあり、列が絶えてなかったです。自分もついつい色々と買ってしまいました。キハラ(株)さん、創業100周年とのことで、そのフォーラムも組まれていて、また購入したグッズ、それを入れてくれる封筒や紙袋も一つ一つのクオリティが本当に凄い! 企業としての底力を見た気がします…。またリブライズとのコラボ企画で「キハライズ」のグッズも。遊び心も凄いです!

リブライズさんのブース、ブース会場に入ってすぐのタイミングで地藏さんのトークタイム。リブライズさんの面白い取り組みを色々と聴けましたね。色んなコミュニティーで活用されているとの事例が。自分もやってみたいなあと思いましたね、楽しそうだし色んなコミュニティーで活用されているとのことだったので、要チェックですね!

・(公社)シャンティ国際ボランティア会さんのブースでは、新書用のクラフトエイドのブックカバーを購入! シャンティの広報課長である鎌倉幸子さんが書かれた『走れ! 移動図書館』(ちくまプリマー新書)用です! また移動図書館をモチーフにした募金箱が可愛かったですね、写真を撮っておけば良かった…。

(株)内田洋行さんのブース。様々なワークショップが行われていた模様。自分はタイミングが合わず参加出来ずに無念でしたが、たまたま通りがかった時には、簡単な科学の実験をして最後にお勧めの本を紹介するというワークショップが開かれていました。文系と図書館って、理系に比べてわりかし相性は高いとおもうのですが、理系の人ももっと巻き込んでいければ面白いなあと思いました。

saveMLAKのブースでは、素敵なオリジナルグッズがたくさん! トートバッグを購入しました! 通勤の際に使いたいですね。

また、『未来の図書館、始めませんか?』を上梓された岡本真さんにサインを入れていただきました! ありがとうございます!

帝京大学さんの「共読ライブラリー」のブースにもヒントがたくさん! 公共図書館にも応用出来そうだなあという仕掛けが幾つもあり、後で貰ったパンフレットをしっかり読んでみたいと思います。

高遠ぶらりのブースでは、実際にタブレットを使って具体的にどんなサービスかを見せて貰いました。公共での汎用性が高そうで、取り入れれば面白いなあと思いました。

今日参加したフォーラムは、「これからの福島の図書館を考える」です。福島県の図書館の被害について、現地の図書館員の方に報告をしていただきました。書架の転倒や、建物の損壊などあったようですが、そんな震災の中でも被害を受けずにいらした方や、震災直後でもいつも通りに図書館を利用したいという人がいらしたとのこと、驚きました。そういった方からは、「図書館は開いているのか?」というような問い合わせがあったそうです。広報のことも現地の方は触れていらっしゃいましたが、日々の発信が大事だなと思いました。そのためにはTwitterの活用が効果的だとは思ったのですが、その辺りどうなんでしょうね?

今回は、公共図書館で出来る仕掛けを、というテーマである程度アンテナを絞っていた感はあります。まだまだ明日も参加予定なので、今日回り切れなかった所も覗いてみたいですね。

とりあえず、今日は今回の雑感的なものはそんな感じです!

明日も図書館総合展には顔を出すので、今日回りなかったブースも覗いてみたいですね!

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司書講習を終えての雑感めいたもの

こんにちは、ブログをご訪問ありがとうございます。今回はタイトル通り、司書講習を終えての雑感めいたものについて書いておこうと思います。気がつけば、司書講習が終わってから早くも三週間ほど経っているわけですが、その間でいろいろと考えたり、思ったことなどがあるのでいくつか。

この夏の司書講習を受けるにあたって、自分が何を知っていて何を知らないか、それを知ることが大きな意義のひとつだったわけですが、そういった意味でもある程度は把握できたように思います。というのも明治大学リバティーアカデミーの「図書館員のためのブラッシュアップ講座」を昨年度に受講させてもらったことなども含めて、ある程度の先端的な知識や、また少しの図書館についての業務経験はあったものの、本来ならそのベースとなるべき司書資格を持っていなかったことで、自分の知識や経験の持ちようがどんなカタチなのか把握しにくかったということがあります。それがある程度は把握できた、というか把握できたつもりではあるので、そこは有意義だったなと。

また司書講習を受講する人って、本当に様々だなあと。大学生から50代くらいの方まで年齢層はもちろん、既に図書館で働いていらっしゃる人から、これから働きたいという人方、とりあえず働く予定などはないけど資格をとっておこうという人まで。まあモチベーションも様々なわけですね。

司書講習を受講して資格を取っただけではスキル的にも、実務的にも、知識的にもまだまだというか、本当にこれからだなということも再認識。スキルや実務は実際に働いてみないと身に付かないですし、知識も今後身に付けるべきものが示されただけという感じだったので、閉講式で先生方が口を揃えて「これからがスタート」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。個人的な話をさせてもらえれば、今後に自分の知識や経験を積み重ねていく上でのバックボーンのようなものが形作られたことが、司書講習を受講して、司書という資格を取れた(まだ結果は出ていないけど、多分、大丈夫・・・)ことの最大の収穫ですかね。ここをベースに積み上げたり強くしていけばいいんだっていうようなものですね。大袈裟に言えばアイデンティティのようなものが確立できたというようなものなのかもしれません。

司書講習を図書館業界における一つの縮図として見た場合、まだまだ言い足りないことはあるのですが・・・。多分、昨今の日本の図書館の状況を鑑みるに、半端なモチベーションではダメだなあと思っていて、と言ってもみんながみんな崇高な理念を持って、また行動していくのも理想論だとは思うので、自分は自分に出来ることを精一杯やってかないとなあ、と感じています。

地道に一歩ずつ、前に進んでいきたいと強く思った次第ですね、司書講習を通じて。頑張ります。

「東日本の図書館に行ってみたくなる話」@明治大学和泉図書館に行ってきました!

和泉図書館

こんばんは、ブログをご訪問ありがとうございます。

司書講習も終わり、気がついてみたら9月22日以来を投稿していない! とうことで久々に。

一昨日の10月3日、明治大学和泉図書館で行われたビブリオテークバトル、「東日本の図書館に行ってみたくなる話」に行ってきました。この「~の図書館に行ってみたくなる話」シリーズは、確か四回目だと記憶しています。最初は北欧、次に北米、そしてエジプト・韓国(だったかな・・・。残念ながらこの回のみ参加出来なかったので記憶が曖昧ですみません・汗)と海外の図書館が続いて、今回は国内編に突入です。

本題に入る前に、先程から出てきているビブリオテークバトルとは、何なのか気になる方もここまで読んできていらっしゃると思います。ビブリオバトルは、バトラー(発表者)が「本」をプレゼンしてチャンプ本を決めるのに対して、ビブリオテークバトルは「図書館(ビブリオテーク)」を紹介して、どの図書館に行ってみたくなったかを決める感じですかね、大まかに言えば。最も多く票を獲得された方には豪華な景品がありますね、毎回。私もビブリオテークを紹介する側に回ってみたいなあと思いつつ見ております。

今回紹介された図書館は5館。一人持ち時間20分でスライドを交えての紹介です。終了二分前には鐘が鳴るとのこと、前はそんなシステムなかったように思うのですが、ますます何かが確立されてきている感が・・・。

さてさて、トップバッターは新潟大学附属図書館です。配布された参考資料によると平成25年4月に中央図書館がリニューアルオープンし、ラーニングコモンズの拡充や、「インフォーメーションラウンジ」が設けられ研究成果の展示、地域への情報発信、さらにコミュニケーションの場として利用できるとのことです。スライドで映された図書館は、外観、内観ともにとても綺麗で、居心地の良さそうな空間でした。カウンター機能が一つに集約されていたり、1Fにイベントエリアがあったり、様々な相談事に乗ってくれるヘルプデスクがあったり、就活に対してのサポートエリアがあったり、最近の大学図書館という感じでしたが、興味深かったことが二つあります。
一つはグループ学習室の使用時間、図書館側が管理するのではなく、学生側がセルフサービスのような形で管理しているということです。ホワイトボードに何時何分まで、と学生たちで記入する、謂わば自己申告方式。色々と図書館の側でも管理の面で世知辛い面もある今日、ほのぼのしていてとても良いなあと思いました。ホワイトボードに手書きで記入する方式もなんだかアナログでほのぼの。
二つめは外国語学習支援スペース。外国の本が配架されているのはもちろん、外国語を専門にしている教授がカウンターにいるそうです。大学の方でもチカラを入れているのがわかります。
さらに学生さん制作の図書館紹介ビデオも見せていただきました。上杉謙信が現代の新潟大学附属図書館にタイムスリップしてしまい、そこで図書館で川中島の合戦の作戦を練ったり、プレゼンエリアで川中島の合戦についての学生のプレゼンを聴いたりと、ある意味とてもシュールで面白く、微笑ましい内容でした。大学図書館は自校の学生に図書館紹介ビデオを作ってもらうのも、学風などが出て面白いのではないかと感じましたね。

2館めは山形大学附属図書館です。山形大学には三つの図書館があるとのことですが、今回ご紹介いただいたのは中央図書館的な位置づけに当たる小白川(こじらかわ)図書館。まず図書館の内観の写真をお見せいただいたのですが、そこにさrげなく映っていたのは、なんとくまモンのブックトラック! よく目にするんです、くまモンのブックトラック。山形にまで勢力を拡げているとは恐ろしや、くまモン・・・。
小白川図書館の最大の特徴は3Fに博物館があること。その博物館では貴重な資料も所蔵しているのは勿論のこと、なんと博物館実習の授業でも使われているとのこと。いやはや、本当に色んな図書館があって面白いと思いました。小白川図書館は、書架や閲覧席の並び、延長コードが貸し出されていたり、PCロッカーが充電式であったりと、クラシカルで昔懐かしいような印象を受ける図書館でした。最新の設備を備えた図書館にはない、どこか安心感のあるような図書館で、そんあ雰囲気を味わいに行ってみたくなりましたね。

3館めは都留文科大学附属図書館。教員養成に強い公立大学ということで、その特長を様々な点から紹介していただきました。いや、本当に「へ~!」と驚いたことがたくさんありました。中学生の職場体験などにも対応した見通しの良い書架、読み聞かせスペース、教職コーナー、教科書や児童書・絵本をたくさん所蔵していること、さらに地域雑誌の充実度等など。「学校の目的と図書館の目的が二人三脚」というようなことを発表者の方がおっしゃっていましたが、本当に特色があって興味津々でした。あ、あと小学生新聞や中学生新聞も取っているとのこと、さすがだと思わされましたね。目配りが行き届いているなと。大学図書館って、その大学の図書館の特色が良く出る場所ではないのかと気付かされました。例えば、工業大学や芸術大学の図書館はまた総合大学のものとは大きく違ってくるのだうなあ、なんて。
また都留文科大学の学生さんについても言及がありました。教員養成に強い公立大学、ということで地道にコツコツとやってきた学生さんたちだから、伸びしろがすごくあると。図書館を構成する要素には利用者も勿論含まれますが、利用者もまた図書館を形作っていく一つの大事な要素であることを、改めて考えさせられました。

4館めは小布施町立図書館、「まちとしょテラソ」の愛称で有名ですね。2011年のLibrary of the yearの大賞を受賞しています。小布施町は人口1.1万人の小さな町。自分の出身の滋賀県米原市が人口4.5万人程度なので、何となくではありますが規模感みたいなものはイメージできます。
写真を見て思ったのは、改めてチャーミングだなと。書架から閲覧席からソファまで、本当に可愛らしくて素敵でした。お茶のみテーブルもあり、お婆ちゃんたちが漬物を食べたtりしていたりするとのこと、ほのぼのでいいですね。「まちとしょテラソ」については、初代館長の花井裕一郎さんのお話や著書の『はなぼん』(文屋)などを通じて、いろいろ話としては知っていたり、ビジュアルイメージとしても持っていたのですが、改めて行ってみたいと思った次第です。いや、行かねば! という感じになりましたね。

最後、5館めは伊那市立図書館。こちらも「まちとしょテラソ」と同じく長野県にあり、また2013年のLibrary of the yearの大賞を受賞しています。紹介者の方は公務員の方で、鳥取県立図書館や武雄市図書館の事例を通じて図書館に関心を持たれたそうで、行政面から、また伊那市立図書館の館長さんに直にアテンドしてもらったという観点からお話いただきました。館長さん、ITをバリバリに使いこなす方とのこと。そんな中で、古地図の上に現在地を表示し、標準地図と切り替えてみることができる高遠ぶらりも体験させてもらったとのことでした。スライドに映された「リアルからデジタル、デジタルからリアル、『何もない空間』に補助線を引く」というフレーズが示唆に富んでいると感じました。

そして番外編として、中央大学附属高校・中学校図書館のご紹介も。ここも学校図書館としてはかなりスゴくてですね、ご紹介いただいたところによると、なかなかボリューミーな課題図書リストがあったり、なんと高校なのに卒業論文があったりと、かなり学校図書館としての役割をバリバリ果たしてるようでした。この教育環境は、大きいなと学校図書館の役割、出来ることのお大きさも再認識した次第です。

そして、投票タイム。結果は都留文科大学附属図書館と伊那市立図書館とが、獲得投票が同票で並んでチャンプ(?)となりました!
自分自身もどの図書館に投票するか迷いましたし、皆さんもそんな感じだったのではないかなと思います。どの図書館も魅力的でした。

次回は「西日本の図書館に行ってみたくなる話」として開催されるそうです。こちらも楽しみですね!