渋谷区立本町図書館のビブリオバトルに参加してきました

2019年4月28日(日)15時から行われた「第8回シブヤビブリオバトルin本町図書館」にバトラーとして参加してきました。

図書館の中の人ではなくなってしまってから、図書館へは本の貸し借り以外で足を運ぶ機会が少なくなってしまっていることもあり、久々に読書会やビブリオバトルに行きたいなと思い参加しました。

テーマは「ミライ」。4月21日には渋谷区中央図書館、29日には渋谷区渋谷図書館でもテーマを「ミライ」としたビブリオバトルが行われていたようです。渋谷区や渋谷区立図書館での催しなどと関連付けてのテーマ設定なのでしょうか。

申込時にバトラーの方は14時30分に集合してくださいとのこと。事前に集合場所に行き、ルール説明、タイマーの使い方、発表順を決めるじゃんけんを行いました。バトラーは自分を含めて5人。じゃんけんで勝った人から好きな順番を選択していく方法で、私は4番目としました。開始15分前の14時45分に開場となり、館内にも「ビブリオバトルを開催します、観覧希望の方は会場まで」というアナウンスが流れます。結果的に集まった観覧者は15名程だったでしょうか。

まずは司会の方から質問についての注意事項やチャンプ本を選ぶ際の基準といった ビブリオバトル観覧者のルールがありました。

そこからバトラーの発表が開始です。紹介されたのは以下の本です。

①『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』(ミック・ジャクソン著・田内志文訳・東京創元社・2009年)

②『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』(レンタルなんもしない人著・ 晶文社 ・2019年)

③『AIに心は宿るのか』(松原仁著・集英社インターナショナル新書・2018年)

④『新しい時代のお金の教科書』(山口揚平著・ちくまプリマ―新書・2017年)

⑤『風が強く吹いている』(三浦しをん著・新潮文庫・2009年)

テーマは「ミライ」でしたが、そのテーマをどう捉えるのかという観点がバトラーごとに異なっていて多様で面白かったです。

結果は③の 『AIに心は宿るのか』がチャンプ本となりました。私も 『AIに心は宿るのか』に投票しました。バトラーの方は本おなかに書かれているというAIが小説を書く、そして将棋とAIということを中心にお話されていて、関心を持ったことが投票した理由です。また実際にAIが書いた小説も収録されているとのことで、それも読んでみたいと思いました。

ちなみに私が紹介した本は 『新しい時代のお金の教科書』でした。タイトルを見るとお金の節約や運用の話と思われるかもしれません。しかしこの本は「お金」というものの成り立ちから今後のお金の在り方はどうなっていくのかを、ブロックチェーンや過去の経済史を織り交ぜつつ解説していくという内容です。

投票は参加者が発表者の番号を投票用紙に書く方法でした。記入した後に職員の方が回収し、集計する形でした。私はこの方式は初めてだったのですが、挙手で決めると目を閉じて後ろを向いていても気配で少し察知できてしまうことがあります。それが苦手だったりもするので、投票用紙に記入する方式も良いのではないかと思いました。また、運営側のカウントを正確に行えそうですし。ここまで書いてきて思ったのですが、投票時に記入する方法だと観覧者にもどのバトラーにどれだけ票が入っているかもわからないのですね。どちらが良いかは難しい話かもしれません。

冒頭にも書きましたが、図書館へは本の貸し借り以外で足を運ぶ機会が少なくなってしまっていることもあり、また読書会などのイベントに参加したいという気持もあったため参加しましたが、久々のビブリオバトルということもあり楽しめました。「一人の利用者」となってみると本の貸し借り以外で図書館へ足を運ぶ機会は少なくなってしまうと痛感しています。そこでこういったイベントがあると図書館へ足を運ぶようにもなりますし、楽しめるのでありがたいと感じます。

図書館のイベントは“ 図書館と利用者を繋ぐ節 ”のようなものだと思っていますが、一般の利用者が気軽に参加できるイベントがあると、利用者として図書館の価値も上がってくるのではないかと感じます。また図書館に親しみを持ってもらえる良い機会だとも思います。

以上、簡単ではありますが 「第8回シブヤビブリオバトルin本町図書館」の参加レポートでした。

平成30年11月20日(火)「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加して【所感編】

先々月の2月5日に「練馬区の図書館専門員ってなーに?」についての参加レポートを書きました(こちら)

この集会に参加しての所感を、今回は書いてみようと思います。練馬区の図書館員によるストライキの動き、練馬区立の図書館練馬図書館と石神井図書館で働く図書館専門員の方々を、区直営の光が丘図書館の業務に従事してもらうという形で妥結したようです。→Twitterによる情報はこちら

公式な情報は見当たりませんが、練馬区での動きは一段落した模様です。

さて、周回に参加しての所感です。私個人としては、待遇向上のために図書館司書の方々が立ち上がったということは非常に意義があり凄いことだと思いました。ただその反面、志向されている図書館サービスの方向性、またそれに関わる指定管理者制度導入に関しての考えにはやや疑問と違和感を感じたことも事実です。

端的に言ってしまえば、『市民の図書館』(日本図書館協会発行・1970年5月初版)の延長線上の図書館サービスが志向されているように感じました。具体的に言えば図書館のカウンターに立つことが前面に押し出されていたことです。

集会で図書館専門員の方から「カウンターに立ちたい」という発言がありました。『四民の図書館』をざっと読み返してみてもカウンターに立つことについて詳述はありません。しかし「図書選択」の項目(71p)に、(図書選択は)「選択の実際は直接利用者と接している職員が主になって行わなければ利用者の要求が反映しにくい。特に読書案内係、貸出係は必ず選択に加わるようにする」と記述があるように、カウンターに立つことを重視しているような記述があります。カウンターに立つこと、利用者と直に接することにウエイトを置いていること、そこが『市民の図書館』に近いサービスが志向されているように感じた点です。

また児童サービスにもついてもお話があり、こちらも『市民の図書館』で重点的に説かれている図書館サービスの考え方と繋がるものがあると思いました。

そして、こちらはナイーブな話になると思うのですが、指定管理者制度の導入についてです。集会では指定管理者制度のもとで公共図書館が運営されることへの弊害が話されていましたが、個人的には制度自体の問題だけだとは限らないのではないかとも感じています。例えばレポート編で紹介した「引継ぎのノウハウが共有されない」、「おはなし会が出来ない」、「イベントを開催しろという会社の方針があった」、「更新毎に雇用とノウハウがリセットされてしまう」といった点は、制度自体の大きな枠組みの話ではなく、自治体と民間の個別なやり取りといった面からある程度の調整で解消できることではないでしょうか。

また集会全体の端々から、置かれている原因を全て指定管理者制へと向けている印象も持ちました。

ここまで集会で話されていたことについて、やや辛辣な感想を述べてしまったかもしれません。

しかし、ストライキという手段を掲げ図書館司書の方々が自らの待遇改善のためにアクションを起こしたということは凄いことだと思いました。寡聞にしてこのようなケースを聞いたことはありません。待遇向上のために、このような動きが広がっていけばよいと思います。また私自身も過去に図書館で働いていた身として、より待遇の良いところに移ることばかりを考えていたことを反省しました。「隗より始めよ」と故事成語にあるように、図書館業界全体の待遇を向上させていくために、自分自身の待遇を今いるところで改善していくことも考えて動いていくべきだったと考えさせられました。練馬区の図書館専門員の方々に、大きな賛辞を贈りたいと思います。一つの突破口になるように祈っています。

以上、期間が空いてしまいましたが、「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加しての所感でした。

この記事で参考にさせていただいた書籍の紹介を以下に記しておきます。

・『市民の図書館』(日本図書館協会発行・1970年5月初版)

・『公共図書館の冒険 未来につながるヒストリー』(柳与志夫・田村俊作編・みすず書房・2018年4月16日発行)

*図書館員がカウンターに立つことについての示唆を受けています。

平成30年11月20日(火)「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加して【レポート編】

ストライキ―①労働条件に維持・向上その他の目的を実現するために、労働者が集団的に業務を停止すること。ストライキ権は、団結権・団体交渉権と共に労働者の基本的権利に属するが、公務員・国営企業職員・地方公営企業職員は法律によって禁止される。(『広辞苑 第五版』・1998・岩波書店)

このストライキという言葉が、図書館の現場で働く人たちから掲げられたことに衝撃を受けられた方も多いのではないでしょうか。練馬区が直営で運営する公立図書館2館について民間に運営を任せるという動きがあり、そのことに反対する当該図書館等で働く非常勤職員「図書館専門員」の方々が立ち上がり、ニュースに取り上げられたり、SNS上でも大きな話題となったのは記憶に新しいところです。

その動きですが、Twitterでの情報によれば平成31年1月21日の団体交渉で、 石神井、練馬図書館への指定管理者導入の提案は妥結となったとのことです。

(ソース元はこちら→https://twitter.com/nerisen_lib/status/1090903310582788096)

さて、この記事では、このストライキの動きに先立つ昨年の11月20日(火)、標題練馬市役所で開催された標題の交流会のレポートをしたいと思います。その当時は「区立図書館2館の指定管理者制度を導入しての運営に反対するための集会」といったニュアンスだったと記憶しています。私自身、練馬区の図書館は身近な存在ということもあって、時間休を取って参加してきました。

前置きが長くなりましたが、今回はそのことについてレポートをしておきたいと思います。手元に控えたメモ書きをもとにして書いていくことになるので、実際に話されたことと少し食い違いなどがあるかもしれません。もし何かございましたら、ご意見、ご指摘などいただければ幸いです。

この集会は「図書館専門員との交流会」とチラシにあったように、図書館専門員の方達が市民の人に自分たちの仕事について知ってもらうための集会と位置付けられているようでした。会全体としては、第一部が図書館専門員の仕事内容などの紹介、第二部が図書館専門員の置かれている現状についての報告の構成、という二部構成です。ちなみにですが、会の最初に「指定管理者の是非を問うための集まりではない」という断りがあったことを付記しておきます。

まず第一部ではパワーポイントのスライドを使って、図書館専門員の仕事内容の紹介がありました。日々の業務について、具体例を交えたレファレンスについての説明、地域資料を生み出すということ、児童サービスについてなどの説明がクイズ形式も交えつつ紹介されていきます。

そして、その後に質疑応答があり、

(1)本を除籍する際の基準や選択について

(2)選書について

(3)除籍した本とリサイクル資料の行き先について

(4)除籍と本を置くスペースの問題について

(5)マンガの取り扱いについて

以上の5つの質問があり、いずれの質問にも図書館専門員の方々が丁寧に回答されている姿が印象的でした。

そして第二部は、「練馬区立図書館専門員の現状」というテーマでお話です。ここで手元のメモを見返すと、「練馬図書館のカウンターを取り返した」、「根幹的業務が大事、それを維持するのは直営でないと出来ない」とあります。カウンター業務に比重を置かれていること、公共図書館を運営するに当たっては直営の方が望ましいというようなお話がされていたように記憶しています。

図書館専門員の方々が受ける研修についてもお話があり、国立国会図書館、東京都立図書館、図書館総合展、図書館大会や、さらに自己研修として様々な場所に行かれているとのこと。その流れで、「森羅万象について根拠を示せる」ことが図書館の強みだということが話されています。

そして、次に練馬区との団体交渉についての話になります。この集まりの核心と言える部分かもしれません。冒頭に書いたように、練馬区が直営で運営する公立図書館2館について民間に運営を任せるという動きについて、現状がどのようになっているかというお話でした。

その中でも「練馬区立図書館のカウンターに立ちたい」。そのことを切実な口調でおっしゃっていたのが強く印象に残る内容でした。だからこそ「今を失うと行き場がない」と。練馬区からは、練馬区立図書館から区内の学校図書館へ配置換えの提案があったとのことなのですが、それは受け入れられるものではないとのことでした。

以上を結びとして、第二部のお話は終了し、全体の質疑応答へと入ります。

まず「労使協定は1月までなのか?」という質疑が挙がりました。その質疑については会場内にいた練馬区議会議員の方にマイクが向けられ、 「この件に関して要望と陳情は行っている、12月中に議会を開きたい」とのこと。またこの議員の方から「民間の方がサービスに寄与する根拠を示してほしいという資料請求をした」とのお話もありました。

その後に、過去に指定管理者制度のもとで運営されている図書館で勤務経験のある図書館専門員のお話がありました。実体験に基づいた指定管理者制度のもとで公共図書館が運営されることへの弊害というような内容でしょうか。

具体的には、「10年間勤めていたが、2度目の更新時に選定されなかった」、「引継ぎのノウハウが共有されない」、「おはなし会が出来ない」、「イベントを開催しろという会社の方針があった」、「委託で職員を採用する際に司書資格が無くでも採用してしまう」、「更新毎に雇用とノウハウがリセットされてしまう」という内容のエピソードが語られました。

そして全体の最後として、組合の委員長を会場全体で激励するという流れで「練馬区の図書館専門員ってなーに?」は締め括られました。

以上が、「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加しての内容的なレポートになります。私自身、過去に図書館で働いていた身として様々な想いを抱きましたが、所感の方はまた次回の記事にアップしようと思っています。

第20回図書館総合参加記録【4-1】

 また久しぶりの更新になってしまいました、標題の通り今年も図書館総合展に参加してきました。そのレポートを残しておきたいと思います。
 転職してカレンダー通りの休みとなり、今年は有給休暇を使っての参加です。10月31日(水)の展示会場がクローズする間際に受付だけ済ませ、その足で二日目交流会へ。フォーラムは11月1日(木)の三本に参加という流れでした。
 参加したフォーラムは以下の3本。
①動く図書館のバトンをつなぐ―移動図書館の過去・現在・未来―
②公共図書館でできる知的障害者への合理的配慮
③◆第20回図書館総合展記念フォーラム◆ 図書館―これまでの20年とこれからの20年
 今現在、知的障害を持っている方の生活介護施設で働いていることもあり、②のフォーラムにまず参加したいと考え、それを基にスケジュールを組み立てていった感じです。
 では、各フォーラムについてレポートと所感を書いてみたいと思います。三本まとめて書くとなると長くなってしまうので、この投稿では一つめに参加したフォーラム「動く図書館のバトンをつなぐ―移動図書館の過去・現在・未来―」について書きたいと思います。あくまでも手元のメモを見てのレポートとなるので、実際に話されていることと微妙なニュアンス等が異なるかもしれませんが、その点はご了承いただければと思います。
「動く図書館のバトンをつなぐ―移動図書館の過去・現在・未来―」
○司会・コーディネーター
 石川敬史氏(十文字学園女子大学 准教授)
○パネリスト
 梅澤幸平氏(元・滋賀県立図書館 館長)
 中山真一氏(横浜市中央図書館サービス課 課長)
 下吹越かおる氏(指宿市立指宿図書館 館長)
 林田理花氏(株式会社林田製作所 取締役)
〇フォーラムの趣旨は以下の通り
「『走れ!移動図書館』
 東日本大震災の復興支援にて,当時・シャンティ国際ボランティア会の鎌倉幸子氏が2014年に筑摩書房(ちくまプリマ―新書)から刊行した図書のタイトルである。図書館を届けたこうした活動は,まさに移動図書館活動の再評価に結びつく。1997年以降,移動図書館車の台数は急激に減少し続けていたが,近年はゆるやかな減少に留まっている。
「これが公共図書館だ!」
 1967年10月の『図書館雑誌』特集のタイトルである。1965年9月,日野市立図書館が1台の移動図書館「ひまわり号」から「開館」した。
 このように移動図書館車の装備や活動内容は,まさに図書館の理念を体現している。本フォーラムでは,移動図書館活動の過去をしっかりと見つめ直し,現在の活動を再評価したうえで,移動図書館の未来を展望する。移動図書館の過去,現在,未来へのバトンをつなぐため,さまざまな立場からのパネリストをお招きし,課題と展望を共有し,ともに移動図書館を育んでいきたい。」
   (https://www.libraryfair.jp/forum/2018/6796) *2018年11月6日参照
 鹿児島県の指宿市立図書館の指定管理者であるそらまめの会が、クラウドファンディングで寄付を募り、ブックカフェ号を走らせるというプロジェクトを実現されたことが少し前に大きな話題となりました。その、そらまめの会の下吹越かおるさんが登壇されるということで話を聴いてみたいと思ったのが、このフォーラムを選んだ理由です。税金のみに頼らない新たな資金源としてクラウドファンディングを活用されたということで、個人的に注目していました。
はじめに石川敬史氏より趣旨説明があり、パネリスト各々がお話をされるという構成でした。
 趣旨説明では、まず日本の代表的な移動図書館車である東京都日野市の「ひまわり号」、千葉県立図書館の「ひかり号」、シャンティ国際ボランティア会の移動図書館車の紹介があり、また統計的に見て日本の移動図書館車の減少は近年ゆるやかなものに留まっているというお話がありました。その中で、それぞれの移動図書館はその時代の理念を体現しているのではないかという指摘があり、たいへん興味深く感じました。
 そして移動図書館とは、図書館が移動しその先で図書館員がサービスを提供する、車に限らず自転車やリヤカー、また船も移動手段として含まれるという定義が示されました。
 続いて梅澤幸平氏から、過去にご自身が北海道で移動図書館車に乗って勤務されていたお話がありました。北海道という土地柄、移動距離が長く、移動図書館車を運行すると数泊しなければならなかった、また道路に牛などの動物が居たなど、その土地ならではのエピソードの紹介がありました。梅澤幸平氏の著書『図書館からの贈り物』(梅澤幸平・日外アソシエーツ・2012年12月)を以前に拝読していたのですが、そのような記述があったな本の内容が思い起こされます。
 中山真一氏からは、今現在も運行されている横浜市の移動図書館「はまかぜ号」についてのお話でした。巡回ステーション数や巡回間隔といった運行状況、貸出冊数、移動図書館の利用方法等の説明から、実際に運行するに当っての様々なエピソードの紹介がありました。
 移動図書館の運行の中で子育て支援と高齢者支援を意識しているとのこと。
そして下吹越かおる氏のお話です。まずは指宿市立図書館の歴史や沿革について紹介がありました。指宿市の図書館は、椋鳩十をはじめとして島尾敏雄や海音寺潮五郎といった作家達と深い縁があるということ。そしてブックカフェ号について。クラウドファンディングで資金を募ったこと、バリューブックスのブックバスを参考にしたこと、この活動について文科省の中教審が関心をもったこと、横浜市都筑区が参考にしていること、この動きが全国に波及しつつあること、そのようなお話があり興味深く拝聴しました。
 林田理花氏からは、移動図書館車は熟練の職人さんが作っていることというお話がり、林田製作所の工場の様子を撮影した映像が映し出されます。
質疑応答については時間の関係でお一人だけとのことで、フロアから「今後の移動図書館に求められる機能とは何か?」という質問が飛びました。その質疑に対し、林田理花氏から、例えば移動図書館車を電源とした場合に何十台ものスマートフォンの充電が出来ることなど、災害時においても果たせる役割があるのではないかという答えがありました。
 そして最後にパネリストの方々から一言ずつコメントがありました。簡潔にまとめると以下の通りです。
・林田理花氏 移動図書館車は電源になる、災害時に強い車である。
・下吹越かおる氏 (ブックカフェ号について)カフェと移動図書館、二つの機能の兼ね合いについて、また行政とタッグを組めないか。
・梅澤幸平氏 先達の残したものも使い切っているか? そのような疑問がある。未来を考えること。
 フォーラムの内容は以上の通りです。次に私がこのフォーラムに参加して感じたこと、考えたことを書きたいと思います。
 実を言うと私自身は移動図書館を利用した経験がなく、実体験からではなくあくまでも聞いた話や本で読んだことから考えを巡らせることになります。その中でもただ一つ実体験に近い形で感じるのは、自動車が主たる交通手段である地方ではアウトリーチという形で移動図書館による図書館サービスの可能性があるのではないかということ。
 私自身が地方は滋賀県の田舎で生まれ育ちました。そして今現在も自動車の運転免許を所持していません。そのような身としては、地方で生活していると自動車の運転が出来ないと致命的と言っていいほど行動範囲が狭まり、不便さを強いられることになります。自動車の運転が出来ればよいのですが、運転が出来ない高齢者の方や子ども等にとってみればまさに死活問題です。そこでアウトリーチという形での移動図書館によるサービスは非常に有効なのではないかと感じました。
数年前に『地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減』(増田寛也著・中央公論新社・2014年8月)という本が話題になりました。また映画化もされた山内マリコの小説『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎・2012年8月)では、地方での“車文化”のリアリティがよく描かれています。そういったことを考え合わせた場合に、地方において自動車の運転が出来る/出来ないは大きな格差となっているのではないでしょうか。そして、その格差を埋めるために移動図書館という存在は有効ではないかと考えを巡らせました。
 また石川敬史氏の趣旨説明の中にあった「移動図書館はその時代の理念を体現している」というフレーズも考えさせられるものでした。東京都の日野市立図書館が一台の移動図書館車からサービスを開始したこと、シャンティ国際ボランティア会の移動図書館車が東日本大震災という大災害の中で大きな役割を果たしたこと、そして今現在は指宿のブックカフェ号がクラウドファンディングを用いてという意味でも大きな注目を集めていること、それらを考え合わせると石川敬史氏の発言も首肯が出来るのではないかと感じました。
 より深く考えてみると、移動図書館という存在は文字通り“移動”することの出来るフットワークの軽い存在です。例えば一般的な図書館の場合だと建物という移動することの出来ないハードの機能があります。その一方で移動図書館は良い意味でハードが最小限に抑えられた、図書館機能とサービスを移動させることが出来る、小回りの利く存在だと言えるのではないでしょうか。そうなるとハードという制約に捉われない分、移動図書館は時代や環境のニーズに適応しやすい図書館の在り方なのかもしれません。
 そしてパネリストの方々も非常にバランスが取れていたように感じました。梅澤幸平氏が冗談交じりに「移動図書館の過去・現在・未来で言うと私は過去の人間ですかね」とおっしゃっていましたが、過去に学ぶことも非常に大切なことだと思います。林田製作所の方の話を聴けたことも良かったですし、横浜市図書館では今現在も移動図書館が運行されていることは驚きでした。欲を言えば下吹越かおる氏からクラウドファンディングについてのお話を聴きたかったですが、それを話すとフォーラム一つ分の枠では足りないかもしれません。
 以上が「動く図書館のバトンをつなぐ―移動図書館の過去・現在・未来―」の報告になります。繰り返しになりますが、あくまでも手元のメモを見返し、フォーラムの内容を思い出しながらのレポートなので、実際に話されていること等の微妙なニュアンスが異なっていること、書ききれていないこともあるかもしれませんが、その点はご了承いただければと思います。
 個人的に参加して、また文章にまとめてみて、改めて示唆に富むフォーラムだったように感じます。
*日野市立図書館の移動図書館車については『移動図書館ひまわり号』(前川恒雄・夏葉社・2016年)、シャンティ国際ボランティア会の移動図書館車については『走れ!移動図書館: 本でよりそう復興支援』(鎌倉幸子・筑摩書房・2014年1月)を参照

第19回図書館総合展に参加してきました【フォーラム編】

「場としての図書館が語られることが多いが、図書館の価値は資料にある」。

以前にとあるパネルディスカッションの中で京都府立図書館の福島幸宏さんがこのようなことを発言されていました。「場としての図書館」と「資料を有する図書館」という対立軸を自分の中で形成させていった、非常に示唆に富む発言でした。

その福島さんが登壇されたフォーラムに参加してきました、第19回図書館総合展二日目の「書誌の未来:クラウドソーシングで繋ぐ、溶かす」

 

登壇者はカーリルの吉本龍司さん、京都府立図書館の福島幸宏さん、同志社大学の原田隆史さん、千葉大学の池田光雪さんの4名。タイトルの通り書誌がテーマのフォーラム、公共図書館勤務で普段は書誌作成にはあまり触れることのない自分として敢えての選択でした。以下、フォーラムの概要です。

まず、吉本さんから「書誌割れ」や、ISBNがない資料(電子書籍やフリーペーパーなど)についての問題提起と、カーリルと版元ドットコムが提供するopenBDプロジェクトについても言及がありました。

次に福島さんから京都府総合目録を作成した際のお話しがあり、それから原田さんと池田さんより先の二氏のお話を受ける形で、L-Crowdや数秒、数分で終わるマイクロボランティアを活用する等のお話がありました。

各氏のお話が終わったところ原田さんが司会で話を各氏に振っていくという流れでパネルディスカッションに移りました。

吉本さんからは書誌のプライマリーキーが欲しい、脱アマゾン、レコメンドやレビューを行う際に書誌割れは困る、地域資料のMARCが欲しいのは図書館だけではない、書誌を統合するとデータ分析に持ち込め選書や除籍についても最適化できる等の発言がありました。そして福島さんからはL-Crowdでも何度か同じ書誌を回して精度を上げている、ある程度はじめからコアなものを作って、そこにDAISYなどの様々なものをぶら下げていく等の発言がありました。また今後はAIをどう活用していくかというお話も。

 

以下、感想と所感です。

 

登壇者の皆さん、頭の回転が速く、話のテンポが速いなあと感じました。メモは必死に取ったのですが、話についていくのがやっとという感じでした。

そんな中でも書誌割れについては、個人的に(読書メーター等で)見かけることもあり興味深かったです。資料を生かすには書誌がしっかりしていることが必要だし、吉本さんがレコメンドやレビューを行う際に書誌割れは困る旨の発言をされていたと先に書きましたが、まさにその通りだと思います。些細なことかもしれませんが、読書メーター等で書誌が割れていたことがあって、非常にストレスを感じたことがあります。また仮に、Amazonなどでもしも書誌が割れていたらユーザーは非常に困惑するだろうなとも。

そして、図書館法の第三条に「図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること」という文言があるように、書誌・目録に関わることも司書の役割と考えれば、書誌の動向に気を払っておくことも必要不可欠だと感じました。ISBNが無い資料、例えば地域・郷土資料等の取り扱いにしても雑にしてはいけないと。図書館現場で民間のMARCに頼ってしまっている現状のメンタリティを何とかしたいですね。そのためにL-Crowdのマイクロボランティアに登録しようと思います。

「場としての図書館」も大事ですが、やはり「資料を有する図書館」としての面も蔑ろにしてはいけない、と痛感させられたフォーラムでした。

登壇者の発表スライドはL-Crowdのサイトで公開されていますので、関心がある方は見ていただくといいと思います。

こちらです→https://crowd4u.org/ja/projects/lcrowd

 

次に参加したのは、「Library of the Year 2017」

優秀機関は

・「20年間継続されてきた地域資料のデジタルアーカイブ事業と将来に向けた取り組み –大阪市立中央図書館

・市民と行政が育てる もちより・みつけ・わけあう広場としての図書館-瀬戸内市民図書館もみわ広場

地域情報資源を活用した公共情報資産の共創活動-ウィキペディアタウン(各地でウィキペディアタウンを企画実施したみなさんとこれをサポートしたウィキペディアンのみなさん)

の3機関でした。結果的に瀬戸内市民図書館もみわ広場がオーディエンス賞と大賞を獲得しましたが、今年もどの機関のプレゼンも熱気に満ちたもので、刺激をいただきました。特にウィキペディアタウンの代読というスタイルは印象に残りました。「Library of the Year 最終選考会」は現場に落とし込むためにというよりは、刺激や熱量を貰いにいっているという面が大きいです。

ただ、大賞決定の後の審査員のコメントも聴きたかったなという思いもあります。

 

続いては3本目のフォーラム、「次世代図書館のブランディング」。こちらは事前に申し込みはしていなかったのですが、当日受付のキャンセル待ちで入ることができました。主催は図書館流通センター、登壇者は以下の方々です。

・ 講師 : 南山宏之氏(株式会社アクサム代表取締役・CEO ディレクター、青山学院大学 非常勤講師)

・ 特別ゲスト : 菊池壮一氏(千代田区立日比谷図書文化館 図書部門長)

・コーディネーター : 高山正也氏(ライブラリー・アカデミー塾長、慶應義塾大学名誉教授、(独)国立公文書館前館長)

フォーラムの流れとしては南山さんから、ブランディングについての専門的なお話があり、その次に菊池氏から書店員としての経歴から図書館について思うことの報告や提案、その後に質疑応答という流れでした。

率直な感想としては、内容が噛み合ってないなあという印象でした。南山さんのブランディングの話は専門的過ぎて、また菊池さんのお話は南山さんの発表内容のレスポンスになっていないと。

ただ南山さんのお話の中で、機関によるフォントの統一がブランディングに繋がるという紹介事例(大英図書館等)があり、それは参考になるなと思いました。

 

以上、長くなりましたが第19回図書館総合展【フォーラム編】でした。自分も登壇する側になりたいと思いました。

 

頑張ります。

第19回図書館総合展に参加してきました【展示会場・ブース編】

標題の通り、第19回図書館総合展に参加してきました。その振り返りと、考えたこと感じたことを書いてみたいと思います。

今年は、11月7日(火)の夕方から会場のパシフィコ横浜に入り一日目交流会に参加、翌日の8日(水)はフォーラムに3つに参加してきました。

このポストは展示会場で感じたこと、考えたことをまとめてみたいと思います。

展示会場では、今年も様々な人にお会いできて、また様々なブースがあって楽しかったですね。以下、気になったことや考えたことをピックアップして書いてみたいと思います。

毎年、素敵な図書館グッズを販売しているキハラ社のブース、今年もやはり人気でフォーラムの合間には凄い行列になっていました。かくいう私もスマホリングと紙製のバッジを購入してしまいました。スマホリングは早速に使用しているのですが、図書館員の心をくすぐるお洒落なデザインで、また実用性も抜群です。

また、図書館でゲーム部さんのブースも気になりました。様々なボードゲームが展示してあり、ブースの方から様々なお話を伺うことができました。公共図書館でボードゲームを行うと、非常に盛り上がって参加者同士で連絡先を交換することがあったり、若年層から年配の方まで楽しめて、世代間交流にもなるそうですボードゲームというツールは、確かに幅広い世代に訴求できそうですし、図書館法的に見ても第二条一項の「レクリエーションに資する」という部分と大いに関わりそうですし、可能性があるなと感じました。また、個人的にご年配の利用者さんにとっての対認知症のツールとして面白いのではないかなと思いました。公共図書館でボードゲームを行うイベントも開催されているようなので、機会を設けて参加したいと思います。

伊藤伊さんのブースでは、ハサミが一つあれば本が作れるというオリジナルミニブックキットをいただきました。本の構造が理解できそうで大変ありがたいです。

さらに個人的にお世話になっている図書館パートナーズさんのブースでは、代表の北村志麻さんが上梓された『図書館員のためのイベント実践講座』(樹村房)を購入させていただきました。点字版の官報を再利用したグッズも販売されていて、素敵な再利用の仕方だなと思いました。

同人誌即売会「としょけっと」さんのコーナーも気になりました。「図書館が出てくる同人誌」「図書館員が作った同人誌」を委託販売しているとのこと。初日で早くも売り切れている本が目に付き、またSNS上での盛り上がりも伝わってきており盛況の様子でした。

その他にスピーカーズコーナーやポスターセッションなど、じっくり回りたくても時間が取れなかったところもありました。さすがにフォーラム3本は多かったかもという気もしないでもないですね。

図書館総合展の展示会場は様々な人達が、様々な立場で参加していらっっしゃって、熱気がすごいなといつも思います。そんな熱気にあてられること、また様々な知り合いの方にお会いできること、新しい人との出会いがあるなど、図書館総合展はなんだかんだ言っても楽しみなイベントです。

 

かつて本当にうだつの上がらない大学院生で、将来のことも全く見通しが立たず頭を抱えていた自分は、様々な図書館関係者に本当に様々な関係者の方にお世話になり、面倒を見ていただきました。与えていただいたものが非常に大きいです。恩送りやギフトの概念ではないですが、今後は自分が与える側にならなければならないと思うことができました。それがまだまだ先のことでも、そう思えるようになったことは、自分が少しでも成長できていることなのではないかと感じています。

頑張ります。

日本文藝家協会主催シンポジウム 「公共図書館はほんとうに本の敵?」に参加してきました

こんにちは、先日2月2日に新宿紀伊國屋サザンシアターにて行われた標記のシンポジウムに行ってきました。そのレポート、雑感などを。長くなりそうですがお付き合いいただければ幸いです。

刺激的なタイトルのこのシンポジウム、登壇者は佐藤優氏、林真理子氏、猪谷千香氏、菊池明郎氏、根本彰氏、石井昂氏の六名と、司会は植村八潮氏。やはり日本文藝家協会主催であることを感じさせる顔触れ。

このシンポジウム、どういった趣旨で開催されたのかと配布された資料に目を落とすと、「出版産業の現状は、まさに危機的です」と出版物の売上の落ち込みの現況、しかし公共図書館の貸出冊数は増加している、だが「そんな公共図書館も、実は出版界と同じく危機にあると思われ」ると、そして「書店・作家・出版社、すなわち売り手・書き手・つくり手と、公共財の有効利用者たる公共図書館が協力・共存する未来はえがけないか、それぞれの立場からの考えを知りたい、そのために話し合いたい、そして日本語表現文化の未来像をイメージしたい」とあります。

個人的な問題意識としては、エンドユーザーたる読者のことも含めての問題意識をもって臨んだので、その辺りが少し腑に落ちないなと思いつつも、話の落とし所がどこになるかに留意して、シンポジウムを聴くこととなりました。

まずは、登壇者各々の挨拶。どんなことを話されたのかを以下に簡単に。

石井氏→公共図書館を敵だと思ったことはない。

根本氏→貸出至上主義にはそこまで肯定的な立場であるわけではない。

林氏→本屋の娘としてこのシンポジウムに臨んだ。(出版業界と公共図書館)同じ船に乗っているもの同士。

佐藤氏→新自由主義、反知性主義が悪い。

猪谷氏→図書館と出版業界が手を取り合ってという実感。

菊池氏→出版社として言うべきことは言わないといけない。再販制度について。

その後は石井氏に話を振る司会の植村氏。石井氏は公共図書館におけるベストセラーの複本問題に言及。中堅作家の増刷がかからない、また無料で読めるという感覚を利用者が持ってしまっている。 新刊の本は貸出まで6ヶ月待って欲しいという提言。 そして図書館は出版社に理解をと。

根本氏がそれを受ける形で、図書館の目的は多様であるにも関わらず、日本の司書の専門性は低い、それは資格は簡単に取れるし養成の過程もしっかりしていない、行政評価が単純化し過ぎていて貸出冊数はその単純化された指標の大きな一つ。

そこで指定管理者制度に話が。林氏は武雄市図書館に言及、はじめは良いイメージを持っていなかったが、実際に行ってみると良い印象を持った。地元の中学校のクラスでは全員が武雄市図書館に行ったことがあったと。

また登壇者から、首長によって「公共」というものがコロコロ変わって良いのかという指摘も。

そこで佐藤氏、大学時代の同志社大学の神学部図書館のエピソードや、図書館で廃棄される貴重資料の話。公共図書館の在り方がよくわからない。

根本氏がそれに関して公共図書館と大学図書館のコレクション構築の違いもあると。公共図書館における予約について、市民・素人が関わることの是非、またマネジメントが自律的ではないと可能ではないという話。それを受けて、植村氏は市民の圧力が公共図書館をつくってしまうのではないか、司書の自律性が危ういと。

ここで猪谷氏に全国で先進的な取り組みを行っている図書館の事例紹介。武蔵野プレイス、まちとしょテラソ、まちライブラリー、千代田区立図書館など。また市民の図書館リテラシーについて。その流れで根本氏における海外の図書館の事例紹介。

そして、石井氏から公共図書館における「ベストセラー寄贈のお願い」についての苦言。住民の質のレベル、理想の図書館とかけ離れていると。そこで話を振られた佐藤氏、拘置所の図書館が究極の寄贈図書館だというお話。

最後に理想の図書館とはどんな図書館か? という問い掛けに登壇者各々が答える形を持って終わりに。

菊池氏→伊万里市民図書館、ビジネス支援、リテラシーが高い。

猪谷氏→子どもの学びを取り巻く格差、それを図書館で埋めるべき。長い目で見た、本の文化を作り上げる図書館。

佐藤氏→久米島の高校図書館。

林氏→家から近い、人が少ない、買えない本がいっぱいある、うるさいおじさんおばさんがいない。

根本氏→学校図書館を整理すべき、読書市民の形成。

石井氏→版元を助ける図書館。新刊の貸出を6ヶ月待ってくれる図書館。

手元のメモをもとにシンポジウム全体の流れを追ってみたのですが、以下に雑感を幾つか。正直に言ってしまえばモヤモヤの残るシンポジウムでしたね。

・日本文藝家協会と公共図書館、どちらが主語なのか最後までよくわからなかった。シンポジウムのタイトルだけ見れば公共図書館なのでしょうが、話されている内容を考えるとどうやらそうでもない感も。

・公共図書館と出版業界、林氏が「同じ船に乗ったもの同士」ということを言っていましたが、両者を結び付ける根拠が経済的に厳しいということ以外に見つけられなかった。その点だけに依拠して「同じ船」という問題意識を持っているとすれば、やはり違和感を持たざるをえないと。

・配布資料には、貸出至上主義に走らない新しいタイプの公共図書館があるが僅かに1%に満たないとある、にも関わらずその1%に満たない図書館を猪谷氏が15分余りも紹介したのは何だったのか、その位置付けがよくわからなかった。このシンポジウムの主語が公共図書館だとしても、問題は99%の公共図書館の方にあるはずなのに。

・話し合うというより、出版業界からの公共図書館への一方的な申し送りに感じた。図書館の人間として登壇した猪谷氏と根本氏、共に厳密に言えば公共図書館の人間(当事者)ではない。要は公共図書館を主語とした場合でも、その声を代表する人間として適当だったのかどうか。

以上雑感です。質疑応答もなく、一方的な感は否めなかったですが、一公共図書館に関わる人間として屈していられないですね。というより、対立軸を作ることより、もっと建設的な話をしてほしかった。利用者の図書館リテラシーを上げる云々のところなど、その格好の糸口だったと思うのに…。

なんかスッキリとはしませんが、とりあえずはここまでで。手元のメモをもとに書いたので、事実誤認などあればご指摘等いただければ。

第16回図書館総合展に行ってきました! (参加第一日め)

こんばんは、ブログは久々の更新になりますね、ご訪問ありがとうございます。

第16回図書館総合展@パシフィコ横浜に参加してきました。明日も参加しますが、今回足を運んでみて得た「気付き」やヒントなどを備忘録的に記しておきたいと思います。

・キハラ(株)さんのブース。歴史的な図書館用品が博物館のように展示されていました。というより本当に博物館! タイプライターやカード目録、またそのカード目録を収納する棚など。社員の方にお話を伺うと、昔の司書はカード目録に記入する際に字体までも訓練していて、目録を一つ作るのも職人芸だったとのこと。テクノロジーは進歩してカード目録は一般的に殆ど使われなくなってしまっていますが、字体を揃えるなどそんなレベルまでトレーニングしていたとは驚きました。カード目録を自然な形で状態を元に戻すカード用の加湿器もあって本当にびっくり。先人達の熱意を受け継ぎたいものだと痛感。また、オリジナルのマスキングテープなど、図書館総合展でのグッズも豊富にあり、列が絶えてなかったです。自分もついつい色々と買ってしまいました。キハラ(株)さん、創業100周年とのことで、そのフォーラムも組まれていて、また購入したグッズ、それを入れてくれる封筒や紙袋も一つ一つのクオリティが本当に凄い! 企業としての底力を見た気がします…。またリブライズとのコラボ企画で「キハライズ」のグッズも。遊び心も凄いです!

リブライズさんのブース、ブース会場に入ってすぐのタイミングで地藏さんのトークタイム。リブライズさんの面白い取り組みを色々と聴けましたね。色んなコミュニティーで活用されているとの事例が。自分もやってみたいなあと思いましたね、楽しそうだし色んなコミュニティーで活用されているとのことだったので、要チェックですね!

・(公社)シャンティ国際ボランティア会さんのブースでは、新書用のクラフトエイドのブックカバーを購入! シャンティの広報課長である鎌倉幸子さんが書かれた『走れ! 移動図書館』(ちくまプリマー新書)用です! また移動図書館をモチーフにした募金箱が可愛かったですね、写真を撮っておけば良かった…。

(株)内田洋行さんのブース。様々なワークショップが行われていた模様。自分はタイミングが合わず参加出来ずに無念でしたが、たまたま通りがかった時には、簡単な科学の実験をして最後にお勧めの本を紹介するというワークショップが開かれていました。文系と図書館って、理系に比べてわりかし相性は高いとおもうのですが、理系の人ももっと巻き込んでいければ面白いなあと思いました。

saveMLAKのブースでは、素敵なオリジナルグッズがたくさん! トートバッグを購入しました! 通勤の際に使いたいですね。

また、『未来の図書館、始めませんか?』を上梓された岡本真さんにサインを入れていただきました! ありがとうございます!

帝京大学さんの「共読ライブラリー」のブースにもヒントがたくさん! 公共図書館にも応用出来そうだなあという仕掛けが幾つもあり、後で貰ったパンフレットをしっかり読んでみたいと思います。

高遠ぶらりのブースでは、実際にタブレットを使って具体的にどんなサービスかを見せて貰いました。公共での汎用性が高そうで、取り入れれば面白いなあと思いました。

今日参加したフォーラムは、「これからの福島の図書館を考える」です。福島県の図書館の被害について、現地の図書館員の方に報告をしていただきました。書架の転倒や、建物の損壊などあったようですが、そんな震災の中でも被害を受けずにいらした方や、震災直後でもいつも通りに図書館を利用したいという人がいらしたとのこと、驚きました。そういった方からは、「図書館は開いているのか?」というような問い合わせがあったそうです。広報のことも現地の方は触れていらっしゃいましたが、日々の発信が大事だなと思いました。そのためにはTwitterの活用が効果的だとは思ったのですが、その辺りどうなんでしょうね?

今回は、公共図書館で出来る仕掛けを、というテーマである程度アンテナを絞っていた感はあります。まだまだ明日も参加予定なので、今日回り切れなかった所も覗いてみたいですね。

とりあえず、今日は今回の雑感的なものはそんな感じです!

明日も図書館総合展には顔を出すので、今日回りなかったブースも覗いてみたいですね!

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「第2回LRGフォーラム・菅谷明子×猪谷千香クロストーク」に参加してきました

昨日の2014年7月2日、標記のクロストークに参加してきました。

そのことについて書きたいと思いますが、とても長くなりそうですね。この投稿ではお二人がどのようなことを話されたのかを簡潔にはなりますがまとめておこうと思います。自分が感じたり考えたことは、また今後に投稿したいと考えています。クロストークの際に、ノートには出来るだけのメモはしたのですが、文字起こしではないので、文章の流れが悪かったり、箇条書きのような文体になったりするとは思いますが、ご容赦いただければと思います。また、自分の感性や関心に触れた部分には詳細なメモをとっていても、違う人には異なったところが強く印象に残っていたりすることもままあるかとは思いますし、甘い部分などもあるのは承知の上です。あくまで自分の主観でのメモをもとにしたものであると、あらかじめご了解いただければとも思っております。

開催趣旨には、「『図書館×ジャーナリズム』『図書館×子育て』『図書館×IT』『図書館×リテラシー』といった様々なテーマを通して、『社会インフラとしての図書館』のあり方を、日本とアメリカでの様々な取材に基づいて語らい、問いかけます」とあります。その通り開会の際に主催のARGの岡本真さんから、「図書館の内部に閉じない」ような「広い観点で」のクロストークにしたいとのお話。

①猪谷さんのプレゼンテーション

まずは猪谷さんのプレゼンテーションから。菅谷明子さんの『未来を作る図書館』を読んで衝撃を受け、NYへと旅行に行かれたとのエピソードを。そして『未来を作る図書館』出版以後の、日本の図書館の動きなどをお話されました。例えば2003年に導入された指定管理者制度、mixiやヤフー知恵袋などの登場で、情報の流れのが双方向性へと変化していったことなど。
そして、『つながる図書館』でもそうだったように、文化複合施設としての武蔵野プレイス、課題解決型図書館として有名な鳥取県立図書館、設計段階から市民に綿密なヒアリングを施したコミュニティ型図書館としての伊万里市民図書館、「島まるごと図書館構想」を掲げクラウドファンディングで蔵書の資金を調達した島根県海士町、「すべての本棚を図書館に」というフレーズをキャッチコピーとしているリブライズ、そのリブライズと連携したことでも有名な船橋の情報ステーション、そして猪谷さんも書くに「非常に迷った」という武雄市図書館のお話、という流れ。

「ポジティブに図書館を書きたかった」という猪谷さん。裏テーマは「図書館リテラシーを上げたい」とのこと。

次にNHKの「クローズアップ現代」で紹介されていた、アメリカの「独立する富裕層」に衝撃を受けたとのこと。要は、アメリカの富裕層が自分達の納税額に見合った行政サービスを受けられないなら、自分達で行政区分から独立してしまうという動きなのですが、そうなると貧困層が行政サービスの面で打撃を受ける。また、「中央公論」2014年6月号の「消滅可能性都市」の特集もショックだったと。

これらの動きを受けて、自治体格差が図書館格差へ直結すると猪谷さんは続けます。子どもや高齢者の貧困問題に対応できるのは「知のセーフティネット」である図書館のみ。今後も複雑化が加速する「情報環境のハブ」として、その役割を担わなければならないと。

そして紙媒体意外にも目を向けることについてもお話がありました。

②菅谷さんのプレゼンテーション

次に菅谷さんのプレゼンテーションです。
『未来を作る図書館』は「足で書いた」本、様々なエピソードを集めた中でも5%ほどしか『未来を作る図書館』に使っていないとおっしゃっていました。インスピレーションとして「図書館を色に例えると?」という問いかけが。菅谷さんご自身は「黄色だと思っている」とのこと。アメリカの図書館は利用者も、ITサービスも増えているとの報告。

そして「パブリック(公共)とはみんなのため」のもの。図書館は情報格差を解消させる存在だと。菅谷さんご自身が日本の書店に行った際に、陳列されている様々な健康法などの医療についての本などを見てリテラシーの低さに唖然とすると。日本の図書館はリテラシーの低い利用者によて成り立っているのではないかとの厳しいご指摘。

またデジタル活用講座について。アメリカの図書館では、「現代の読み書き」としてのwebスキル(メールアカウントの取得の方法、Twitter・Facebookの活用方など)の格差を是正することが課題になっていると。またデジタルに出来ないことを図書館がいかにやって、人に来てもらうかも大事だと。電気書籍についても積極的に導入していて、いまはシフトしている時期。「Consumer Reports」のような雑誌がアメリカでは広く浸透していることをお話され、「何を目的にどんな情報が社会に価値を生み出すのか」が大事であるとのお話。

それらを受けてソーシャルメディアについて言及されます。IT、ソーシャルメディアをいかに上手く使っていくか、ソーシャルメディアと行政、ソーシャルメディアと課題解決、といったことを具体例を紹介されてのお話。ここでも「情報格差の是正」、「ITをうまく使えるか?」といったフレーズが。

最後に図書館の存在意義とは「いかに賢い市民を育てていくのか」であるとの締めくくり。

③クロストーク

まずは、司会の岡本さんより、ライブラリーリテラシーを高め、それをいかに自分のものとしてそれを獲得していくのか、ジャーナリズムの観点からお話を聞きたい。またgovernmentという概念と、ライブラリーとをどう繋げるのかとも。
猪谷さんは、情報にはバイアスがかかっていてそれを見極めるのはプロでも難しいと。そのあたりにフックとして図書館への期待感があると。菅谷さんはそれを受けて、「情報源」と「目的」を見ることが大事だと。そして図書館の情報リテラシー教育について。「本の読み方」について。共感を得るための読書ではなく、知らないものを知るために、本をいかにして読んでいくか。
猪谷さん、ネットで「つながる図書館」のレビューなどを検索してみたところ「つながりたくない人たち」がいたと。読書がエンタメとなっている。そうではない読書をどう形作っていくのか。そこに図書館の働き掛けが大事なのではないかというお話。

次に岡本さんから、民主主義と図書館について。主体的にどうコミットし図書館を獲得していくのか、オープンガバメント的にコミットするのか、という問い掛け。

菅谷さん、アメリカでは図書館は独立した組織、日本の図書館は「3日前まで水道局にいました」というような人が配属されたりと、働きたい人がなぜ働けないのかという素朴な疑問がある。自分達で作り上げていく意識、自分に何が出来るのか、という当事者意識が必要だと。またビジネスモデルというワードも。岡本さん、税金一本槍では不可能、どうエコシステムを作っていくか。

そして最後一言ずつ。

猪谷さん、反対するばかりではなく、双方向性で。

菅谷さん、(プラティカルなスキルは何かと問われて)ルールを建設的に考えていくことが大事。人と同調しようとする、異質なものへのネガティブな日本特有の意識を変えること。建設的にルールを壊すこと、もっと横へのつながりを、前に踏み出す勇気を。

④付記

クロストーク終了後、会場を提供してくださったというリクルートさんからサプライズ! 会場の照明が消え、41階からの東京の夜景が一望できました。素晴らしいサプライズでした。

また、このような貴重な機会をご用意していただいた、主催のアカデミック・リソーズ・ガイド株式会社さん、ボランティアとしてこのクロストークを支えてくださった方々、また貴重なお話をしていただいた菅谷明子さん、猪谷千香さんに、感謝の念を込めて、この投稿を終えたいと思います。
本当に、エキサイティングなクロストークでした。

またまたの長文ですね、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

練馬区立貫井図書館の講座:「デジタル化最前線」に参加してきました

こんばんは~、ブログをご訪問いただきありがとうございます!

標記の講座に参加して参りましたので、そのことをば書きたいと思います。

ちょうど鎌倉幸子さんの『走れ! 移動図書館~本でよりそう復興支援~』をテーマ本としての読書会や、またまた鎌倉幸子さんと猪谷千香さんのクロストークで話されていたことから、デジタルアーカイブについても関心を持ち始めていたところに、この講座の情報が入って来たので練馬区立貫井図書館に行ってきました。実を言うと、この講座のことを知ったのが前日の夜と、直前だったわけですが、当日の朝一で貫井図書館に問い合わせたところ、まだ空きはあるとのことで、駆け込みでの参加となりました。

講師は山中湖情報創造館の丸山高弘さんです。実は図書館総合展や、図書館関係の飲み会でお会いしていてFacebook上でも繋がりがあったのですが、じっくりとお話を聴くのは初めてでした。

講座のタイトルにもある通り、デジタルアーカイブについてのお話。貫井図書館では古い和装本などをデジタルアーカイブ化することを行っているそうで、その一環として今回の講座が催された模様です。

丸山さんいわく、自分個人の記録をデジタルでアーカイブしておくのは大事だと。昔の古い、例えば自分が子供の頃の写真などをデジタルアーカイブしておくと、励まされるし、親戚が集まった時などに話が盛り上がったり、そして当時の模様や何気ない風景などが貴重な資料になると。例えば、フリッカーという写真を投稿するコミュニティサイトに、アメリカ人のおばあさんが写真をアップしていて、その中に戦後間もない頃の当時の日本に駐留していた頃の写真などが入っていて、その時代の日本のありふれた風景などが貴重な資料となっていたりと、具体例を挙げてお話いただきました。本当に、当時の「ありふれた風景」がよくわかって、確かに貴重な資料だなあと。「ありふれた風景」って、なかなか写真には残りづらいですし、人間は忘れる生き物、そんなことを痛感していた矢先だったので、なんてタイムリーな講座たったのかと!

またクリエイティブ・コモンズの話も。要はコピーライト(日本で言う著作権ですね)とパブリックドメインの間の段階的権利のことですね。勉強になりました。また、例えば自分以外の人が写っていると肖像権などの面で色々と大変だとも。誰に許諾を取っていいのかわからないものを「孤児作品」と言うんですよね、確か。その辺りが難しいとも。

また、デジタルアーキビストの今後や、技術者の育成についてのお話も。

さらには図書館司書の役割についても。ネットが普及した今日、司書に求められるスキルも変化していくのではと。これは自分自身も常々考えていたことで、ネットの中の検索エンジンやポータルサイトなどをいかに活用し、利用者のニーズに応えていくか、ということが司書の大事な役割の一つになっていくのではないかとも感じています。

そして、新しい視点での地域資料について。山中湖情報創造館では、山中湖が舞台になったドラマや映画、小説なども地域資料として展示されているとのこと。フィルムコミッションというワードも出てきてましたね。

デジタルアーカイブ、もう少し突っ込んで勉強して、実践してみようかなと思わせてくれた講座でした。

「ああ、勉強になったなあ」で終わらせるのではなく、そこからもう一歩、二歩と踏み込んでいきたいですね。

丸山さん、貴重なお話をありがとうございました!