第19回図書館総合展に参加してきました【フォーラム編】

「場としての図書館が語られることが多いが、図書館の価値は資料にある」。

以前にとあるパネルディスカッションの中で京都府立図書館の福島幸宏さんがこのようなことを発言されていました。「場としての図書館」と「資料を有する図書館」という対立軸を自分の中で形成させていった、非常に示唆に富む発言でした。

その福島さんが登壇されたフォーラムに参加してきました、第19回図書館総合展二日目の「書誌の未来:クラウドソーシングで繋ぐ、溶かす」

 

登壇者はカーリルの吉本龍司さん、京都府立図書館の福島幸宏さん、同志社大学の原田隆史さん、千葉大学の池田光雪さんの4名。タイトルの通り書誌がテーマのフォーラム、公共図書館勤務で普段は書誌作成にはあまり触れることのない自分として敢えての選択でした。以下、フォーラムの概要です。

まず、吉本さんから「書誌割れ」や、ISBNがない資料(電子書籍やフリーペーパーなど)についての問題提起と、カーリルと版元ドットコムが提供するopenBDプロジェクトについても言及がありました。

次に福島さんから京都府総合目録を作成した際のお話しがあり、それから原田さんと池田さんより先の二氏のお話を受ける形で、L-Crowdや数秒、数分で終わるマイクロボランティアを活用する等のお話がありました。

各氏のお話が終わったところ原田さんが司会で話を各氏に振っていくという流れでパネルディスカッションに移りました。

吉本さんからは書誌のプライマリーキーが欲しい、脱アマゾン、レコメンドやレビューを行う際に書誌割れは困る、地域資料のMARCが欲しいのは図書館だけではない、書誌を統合するとデータ分析に持ち込め選書や除籍についても最適化できる等の発言がありました。そして福島さんからはL-Crowdでも何度か同じ書誌を回して精度を上げている、ある程度はじめからコアなものを作って、そこにDAISYなどの様々なものをぶら下げていく等の発言がありました。また今後はAIをどう活用していくかというお話も。

 

以下、感想と所感です。

 

登壇者の皆さん、頭の回転が速く、話のテンポが速いなあと感じました。メモは必死に取ったのですが、話についていくのがやっとという感じでした。

そんな中でも書誌割れについては、個人的に(読書メーター等で)見かけることもあり興味深かったです。資料を生かすには書誌がしっかりしていることが必要だし、吉本さんがレコメンドやレビューを行う際に書誌割れは困る旨の発言をされていたと先に書きましたが、まさにその通りだと思います。些細なことかもしれませんが、読書メーター等で書誌が割れていたことがあって、非常にストレスを感じたことがあります。また仮に、Amazonなどでもしも書誌が割れていたらユーザーは非常に困惑するだろうなとも。

そして、図書館法の第三条に「図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること」という文言があるように、書誌・目録に関わることも司書の役割と考えれば、書誌の動向に気を払っておくことも必要不可欠だと感じました。ISBNが無い資料、例えば地域・郷土資料等の取り扱いにしても雑にしてはいけないと。図書館現場で民間のMARCに頼ってしまっている現状のメンタリティを何とかしたいですね。そのためにL-Crowdのマイクロボランティアに登録しようと思います。

「場としての図書館」も大事ですが、やはり「資料を有する図書館」としての面も蔑ろにしてはいけない、と痛感させられたフォーラムでした。

登壇者の発表スライドはL-Crowdのサイトで公開されていますので、関心がある方は見ていただくといいと思います。

こちらです→https://crowd4u.org/ja/projects/lcrowd

 

次に参加したのは、「Library of the Year 2017」

優秀機関は

・「20年間継続されてきた地域資料のデジタルアーカイブ事業と将来に向けた取り組み –大阪市立中央図書館

・市民と行政が育てる もちより・みつけ・わけあう広場としての図書館-瀬戸内市民図書館もみわ広場

地域情報資源を活用した公共情報資産の共創活動-ウィキペディアタウン(各地でウィキペディアタウンを企画実施したみなさんとこれをサポートしたウィキペディアンのみなさん)

の3機関でした。結果的に瀬戸内市民図書館もみわ広場がオーディエンス賞と大賞を獲得しましたが、今年もどの機関のプレゼンも熱気に満ちたもので、刺激をいただきました。特にウィキペディアタウンの代読というスタイルは印象に残りました。「Library of the Year 最終選考会」は現場に落とし込むためにというよりは、刺激や熱量を貰いにいっているという面が大きいです。

ただ、大賞決定の後の審査員のコメントも聴きたかったなという思いもあります。

 

続いては3本目のフォーラム、「次世代図書館のブランディング」。こちらは事前に申し込みはしていなかったのですが、当日受付のキャンセル待ちで入ることができました。主催は図書館流通センター、登壇者は以下の方々です。

・ 講師 : 南山宏之氏(株式会社アクサム代表取締役・CEO ディレクター、青山学院大学 非常勤講師)

・ 特別ゲスト : 菊池壮一氏(千代田区立日比谷図書文化館 図書部門長)

・コーディネーター : 高山正也氏(ライブラリー・アカデミー塾長、慶應義塾大学名誉教授、(独)国立公文書館前館長)

フォーラムの流れとしては南山さんから、ブランディングについての専門的なお話があり、その次に菊池氏から書店員としての経歴から図書館について思うことの報告や提案、その後に質疑応答という流れでした。

率直な感想としては、内容が噛み合ってないなあという印象でした。南山さんのブランディングの話は専門的過ぎて、また菊池さんのお話は南山さんの発表内容のレスポンスになっていないと。

ただ南山さんのお話の中で、機関によるフォントの統一がブランディングに繋がるという紹介事例(大英図書館等)があり、それは参考になるなと思いました。

 

以上、長くなりましたが第19回図書館総合展【フォーラム編】でした。自分も登壇する側になりたいと思いました。

 

頑張ります。

第19回図書館総合展に参加してきました【展示会場・ブース編】

標題の通り、第19回図書館総合展に参加してきました。その振り返りと、考えたこと感じたことを書いてみたいと思います。

今年は、11月7日(火)の夕方から会場のパシフィコ横浜に入り一日目交流会に参加、翌日の8日(水)はフォーラムに3つに参加してきました。

このポストは展示会場で感じたこと、考えたことをまとめてみたいと思います。

展示会場では、今年も様々な人にお会いできて、また様々なブースがあって楽しかったですね。以下、気になったことや考えたことをピックアップして書いてみたいと思います。

毎年、素敵な図書館グッズを販売しているキハラ社のブース、今年もやはり人気でフォーラムの合間には凄い行列になっていました。かくいう私もスマホリングと紙製のバッジを購入してしまいました。スマホリングは早速に使用しているのですが、図書館員の心をくすぐるお洒落なデザインで、また実用性も抜群です。

また、図書館でゲーム部さんのブースも気になりました。様々なボードゲームが展示してあり、ブースの方から様々なお話を伺うことができました。公共図書館でボードゲームを行うと、非常に盛り上がって参加者同士で連絡先を交換することがあったり、若年層から年配の方まで楽しめて、世代間交流にもなるそうですボードゲームというツールは、確かに幅広い世代に訴求できそうですし、図書館法的に見ても第二条一項の「レクリエーションに資する」という部分と大いに関わりそうですし、可能性があるなと感じました。また、個人的にご年配の利用者さんにとっての対認知症のツールとして面白いのではないかなと思いました。公共図書館でボードゲームを行うイベントも開催されているようなので、機会を設けて参加したいと思います。

伊藤伊さんのブースでは、ハサミが一つあれば本が作れるというオリジナルミニブックキットをいただきました。本の構造が理解できそうで大変ありがたいです。

さらに個人的にお世話になっている図書館パートナーズさんのブースでは、代表の北村志麻さんが上梓された『図書館員のためのイベント実践講座』(樹村房)を購入させていただきました。点字版の官報を再利用したグッズも販売されていて、素敵な再利用の仕方だなと思いました。

同人誌即売会「としょけっと」さんのコーナーも気になりました。「図書館が出てくる同人誌」「図書館員が作った同人誌」を委託販売しているとのこと。初日で早くも売り切れている本が目に付き、またSNS上での盛り上がりも伝わってきており盛況の様子でした。

その他にスピーカーズコーナーやポスターセッションなど、じっくり回りたくても時間が取れなかったところもありました。さすがにフォーラム3本は多かったかもという気もしないでもないですね。

図書館総合展の展示会場は様々な人達が、様々な立場で参加していらっっしゃって、熱気がすごいなといつも思います。そんな熱気にあてられること、また様々な知り合いの方にお会いできること、新しい人との出会いがあるなど、図書館総合展はなんだかんだ言っても楽しみなイベントです。

 

かつて本当にうだつの上がらない大学院生で、将来のことも全く見通しが立たず頭を抱えていた自分は、様々な図書館関係者に本当に様々な関係者の方にお世話になり、面倒を見ていただきました。与えていただいたものが非常に大きいです。恩送りやギフトの概念ではないですが、今後は自分が与える側にならなければならないと思うことができました。それがまだまだ先のことでも、そう思えるようになったことは、自分が少しでも成長できていることなのではないかと感じています。

頑張ります。

図書館員としての個人名刺を作る

以前に、図書館員が名刺を持っていないことについて少し書きました。こちらです→図書館の名刺と、少しのもやもや

自分自身の状況が転変する中、今の職場で名刺を持たせてもらえるようになったのですが、それとは別に個人名刺を作りました。前に偉そうに書いておきながらやっとか、と言った声が飛んできそうですが・・・。

個人名刺を改めて作ろうと思ったのは、理由があります。

まずは、自分個人のブランディングのためです。職場の名刺はその職場・組織の人間である、ということを示す意味合いもあります。でもそうではなく、シンプルに一個人・一司書としての自分の名刺を持とうと思ったからです。

次の理由として、職場の名刺でFacebookなどの繋がりを作っていたのですが、自分自身はFacebookと職場とは分けているために、職場の名刺でFacebookの個人的な繋がりを作っていくのは少し違うのではないか、と思っていたことです。

この2点が個人名刺も持とうと思った動機です。

 

では、どうやって作ったか、以下は個人的な実践です。

ラクスルというフライヤーや名刺などの印刷物をオンラインで扱っている会社があり、そちらで作りました。値段は、100枚・カラー両面印刷で500円程度からと、わりとリーズナブルです。

デザインについては、あらかじめラクスルのサイトでフォーマットが何種類も用意されているのでそちらを利用しました。フォーマットの編集に慣れるまで少し手間取るかもしれませんが、そこまで難しい作業ではありません。

肩書の所はシンプルに「司書」、「Librarian」としました。そして名前、あとはFacebookなどのアカウント名やメールアドレスを入れます。そして、余白に知人に書いてもらったイラストをデータにして貼り付けて完成としました(ちなみにイラストのモチーフは「図書館の神様」です)。

実際に出来上がってみると、「司書」や「Librarian」って肩書はけっこう様になるように思いました。またシンプルなフォーマットを使ったっため、それが逆に良い感じになっています。もちろん、プロのデザイナーさんが作ったようなものと比べると見劣りはするかもしれませんが、個人的に充分に満足な出来栄えになっています。デザインに明るかったり、イラストが得意だったりする人は、もっと工夫が出来るかもしれませんね。

というわけで、簡単に名刺は作ろうと思えば作れるよ、という話でした。また、自分はラクスルを使ったのですが、他にも色んな方法もあると思うので、調べて実践してみるのもいいと思います。もしかしたらもっとリーズナブルかもしれません。

 

個人的に(プライベートとしての位置づけで)さまざまなイベントなどに出掛けて行くことが多いので、そこで個人の自分をPRするためのツールとして、個人名刺の有効性は高いのではないかと勝手に思っています。また、FacebookなどのSNSで繋がりを作っていく際にも、単純に相手に名前を忘れられることがないという実用的な意味合いもあります。また個人名刺を持っているということは、もしかしたらそのこと自体が相手に与える印象を変えるのかもしれません。

最後に、自分が個人名刺を作ろうと思った強い動機付けとなった記事を紹介します。空手家図書館員こと井上昌彦さんのブログ記事です。一読をおススメします。このエントリ以上に、もっと熱く、また具体的なお話をされています。

http://karatekalibrarian.blogspot.jp/2015/03/blog-post_22.html

井上さんは「名刺がなければ相手はあなたのことを覚えてくれず、ご縁も絶対に深まりません」と書かれています。名刺を持っていない時期の自分に読ませて「個人名刺でもいいから早く持て」と言ってやりたいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。名刺、作りましょう!

図書館で働いてきて感じたこと、または働いていて感じること

久しぶりの投稿になります。今回はタイトルの通り、今まで自分が図書館で働いてきて感じたこと、そして今現在も図書館で働いていて感じていること、そして心掛けていることについて書いてみたいと思います。

まずは図書館で働き始めてからの来歴を振り返ってみる

図書館で働き始めたのが約4年前、司書の資格を取得するため司書講習に通っていたのが3年前です。それまで長らく学生生活が続いていたこと、また司書資格も持っていなかったこと、自分自身ろくに就職したことがないこと、また図書館業界は雇用の面で非常に厳しいと聞いていたこと、以上の理由から最初は半ば「下積み」の意識もありました。

最初の図書館では業務委託のアルバイト。カウンターと配架業務、そして回送されてきた資料の処理が日々の業務でした。そこで約1年働いたのち、司書資格取得を機に指定管理の図書館で契約社員として約4か月働きました。それからその図書館を辞め、書店のバイトなどを経つつ、今の組織で働き始めたのが約2年になり今現在に至ります。今の職場では、最初の図書館で働いていた時期に比べれば、ずっと大きな裁量と自身のスキルアップの機会をもらえていると実感しています。

ただ今のところに来るまでの道程を考えてみると、決して安定はしていません。しかし浮き沈みはありながらも、少しずつでも成長を実感できています。それなりに大きな失敗もしたので、その失敗を乗り越えるべく努力もしているつもりです。また逆に自分が成長できた/できているという実感もあります。

そんな日々の中、まだまだ先を見据えて悪戦苦闘の日々が続いています。 “図書館で働いてきて感じたこと、または働いていて感じること” の続きを読む