(仮)地域の図書館職員の役割【二年前の採用試験で送ったもの】

実は、2年前に某所の司書の試験を受けていて、そこの課題が約1500字の作文でした。私としては随分と気合を入れて一生懸命書いたつもりだったのですが書類も通過せずという有様でした。部屋の整理をしていたら、上の作文を久々に読み返す機会がありまして、せっかくなのでこのブログに載せておきたいと思いました。テーマは「地域における図書館員の在り方」といったニュアンスのものでした。当時の私なりに一生懸命書いたので、またそれなりに頑張ってる感もある文章なので、せっかくなのでこの場で公開しておきます。

【以下から作文】

地域の読書活動推進に必要な図書館員の役割とは、「場としての図書館」と「本や情報を利用・活用するための図書館」、この二つを軸としたサービスを推し進め、また持続させることだと考える。そのことを通じて、本や情報を、地域の人々にとって身近に感じてもらうことが、読書活動推進の大きな役目を果たすのではないか。では、二つの軸について具体例を挙げ詳述していく。

「場としての図書館」とは、人と情報が、情報と情報が、人と人とが繋がる「場」である。読書会や回想法、ビブリオバトルやブックスタートなどのイベントを行うことにより、「繋がる場」としての図書館を機能させていくことが必要である。そのような「場」において、本は非常に有効なツールである。その点についてはLibrary of the Year2011年の大賞を受賞した長野県小布施立町立図書館まちとしょテラソの取り組みは示唆に富んでいる(1)。まちとしょテラソでの一箱古本市の開催や(2)、「小布施まちじゅう図書館構想」(3)など、図書館がその枠を飛び出し本のある空間を拡張する試みがなされている。その活動について猪谷千香は「『交流と創造を楽しむ文化の拠点』として機能し」ていると指摘している(4)

繋がる「場」としての図書館を拡充させていくことにより、人と情報が、情報と情報が、そして人と人とが繋がり、地域の読書活動推進に結びつくのではないか。

次に「本や情報を利用・活用するための図書館」について述べる。端的に言ってしまえば、デジタルアーカイブという視点から、図書館資料を収集・保存・公開することである。その一例が図書館の電子書籍貸出サービスである。札幌市中央図書館の淺野隆夫は「図書館における電子図書館サービスの事例」(5)の中で、

事実上一点ものが多い地域・行政資料を電子化し、検索機能もしっかりつけることで保存と活用が進むこと、地域の住民の情報発信のプラットフォームとしても使えることから電子書籍貸出サービスが、札幌をキーワードとしたさまざまな資料を安定的に保存し、ネットの力を利用して積極的に発信・PRできることがわかった

と述べている。同論の中で昭和25年発行以来60年分の「広報さっぽろ」などを電子化したとあり、「変わるもの変わらないものの対比も実に興味深い」(6)という所感が寄せられていることから、一般的に埋もれがちな地域・行政資料の利用・活用に有効なことが示されている。このように、情報へアクセスする新たなツールとしての電子書籍貸出サービスを導入することが、地域の読書活動推進の一助となるのではないか。

また、地域の情報をWikipedia上に編集するイベント、ウィキペディアタウンも「本や情報を利用・活用するための図書館」としての機能を果たすと考えられることも付記しておく。

以上、図書館サービスを二つの視点から述べてきた。その上で図書館職員の役割についてあらためて考えてみたい。上記のサービスを提供するには人や資金や情報といったリソースが必要不可欠である。図書館職員には、これらのリソースを繋ぎ、活用し、振り分けるコーディネーターとしての役割が求められる。そして様々なリソースのハブとなり、「場としての図書館」と「本や情報を利用・活用するための図書館」という二つの軸で図書館サービスを推し進め、持続させていくこと、そのことが地域の読書活動推進に必要な図書館職員の役割だと考える。

(1)まちとしょテラソの受賞については  http://www.iri-net.org/loy/loy2011.htmlを参照(2017/09/05アクセス)まちとしょテラソでの一箱古本市の様子については『はなぼん』(花井裕一郎・文屋・2013年1月)の156p-157pを参照

(2) http://machitoshoterrasow.com/pg675.html  (2017/09/05アクセス)。また『つながる図書館』(猪谷千香・筑摩書房・2014年1月)56pにも記述がある。

(3)『つながる図書館』(猪谷千香・筑摩書房・2014年1月)59p

(4)『デジタルアーカイブとは何か―理論と実践―』(岡本真/柳与志夫責任編集・勉誠出版・2015年6月)所収

(5)同上、121p

(6)同上、123p

【以上になります】

久々に読み返してみましたが、今現在の自分とあまりスタンスがぶれていない事が一つの発見でした。自分なりに一生懸命書いたものなので、ここに記録を兼ねて公開しておきます。

何かご意見等ありましたら、よろしくお願い致します。

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