平成30年11月20日(火)「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加して【レポート編】

ストライキ―①労働条件に維持・向上その他の目的を実現するために、労働者が集団的に業務を停止すること。ストライキ権は、団結権・団体交渉権と共に労働者の基本的権利に属するが、公務員・国営企業職員・地方公営企業職員は法律によって禁止される。(『広辞苑 第五版』・1998・岩波書店)

このストライキという言葉が、図書館の現場で働く人たちから掲げられたことに衝撃を受けられた方も多いのではないでしょうか。練馬区が直営で運営する公立図書館2館について民間に運営を任せるという動きがあり、そのことに反対する当該図書館等で働く非常勤職員「図書館専門員」の方々が立ち上がり、ニュースに取り上げられたり、SNS上でも大きな話題となったのは記憶に新しいところです。

その動きですが、Twitterでの情報によれば平成31年1月21日の団体交渉で、 石神井、練馬図書館への指定管理者導入の提案は妥結となったとのことです。

(ソース元はこちら→https://twitter.com/nerisen_lib/status/1090903310582788096)

さて、この記事では、このストライキの動きに先立つ昨年の11月20日(火)、標題練馬市役所で開催された標題の交流会のレポートをしたいと思います。その当時は「区立図書館2館の指定管理者制度を導入しての運営に反対するための集会」といったニュアンスだったと記憶しています。私自身、練馬区の図書館は身近な存在ということもあって、時間休を取って参加してきました。

前置きが長くなりましたが、今回はそのことについてレポートをしておきたいと思います。手元に控えたメモ書きをもとにして書いていくことになるので、実際に話されたことと少し食い違いなどがあるかもしれません。もし何かございましたら、ご意見、ご指摘などいただければ幸いです。

この集会は「図書館専門員との交流会」とチラシにあったように、図書館専門員の方達が市民の人に自分たちの仕事について知ってもらうための集会と位置付けられているようでした。会全体としては、第一部が図書館専門員の仕事内容などの紹介、第二部が図書館専門員の置かれている現状についての報告の構成、という二部構成です。ちなみにですが、会の最初に「指定管理者の是非を問うための集まりではない」という断りがあったことを付記しておきます。

まず第一部ではパワーポイントのスライドを使って、図書館専門員の仕事内容の紹介がありました。日々の業務について、具体例を交えたレファレンスについての説明、地域資料を生み出すということ、児童サービスについてなどの説明がクイズ形式も交えつつ紹介されていきます。

そして、その後に質疑応答があり、

(1)本を除籍する際の基準や選択について

(2)選書について

(3)除籍した本とリサイクル資料の行き先について

(4)除籍と本を置くスペースの問題について

(5)マンガの取り扱いについて

以上の5つの質問があり、いずれの質問にも図書館専門員の方々が丁寧に回答されている姿が印象的でした。

そして第二部は、「練馬区立図書館専門員の現状」というテーマでお話です。ここで手元のメモを見返すと、「練馬図書館のカウンターを取り返した」、「根幹的業務が大事、それを維持するのは直営でないと出来ない」とあります。カウンター業務に比重を置かれていること、公共図書館を運営するに当たっては直営の方が望ましいというようなお話がされていたように記憶しています。

図書館専門員の方々が受ける研修についてもお話があり、国立国会図書館、東京都立図書館、図書館総合展、図書館大会や、さらに自己研修として様々な場所に行かれているとのこと。その流れで、「森羅万象について根拠を示せる」ことが図書館の強みだということが話されています。

そして、次に練馬区との団体交渉についての話になります。この集まりの核心と言える部分かもしれません。冒頭に書いたように、練馬区が直営で運営する公立図書館2館について民間に運営を任せるという動きについて、現状がどのようになっているかというお話でした。

その中でも「練馬区立図書館のカウンターに立ちたい」。そのことを切実な口調でおっしゃっていたのが強く印象に残る内容でした。だからこそ「今を失うと行き場がない」と。練馬区からは、練馬区立図書館から区内の学校図書館へ配置換えの提案があったとのことなのですが、それは受け入れられるものではないとのことでした。

以上を結びとして、第二部のお話は終了し、全体の質疑応答へと入ります。

まず「労使協定は1月までなのか?」という質疑が挙がりました。その質疑については会場内にいた練馬区議会議員の方にマイクが向けられ、 「この件に関して要望と陳情は行っている、12月中に議会を開きたい」とのこと。またこの議員の方から「民間の方がサービスに寄与する根拠を示してほしいという資料請求をした」とのお話もありました。

その後に、過去に指定管理者制度のもとで運営されている図書館で勤務経験のある図書館専門員のお話がありました。実体験に基づいた指定管理者制度のもとで公共図書館が運営されることへの弊害というような内容でしょうか。

具体的には、「10年間勤めていたが、2度目の更新時に選定されなかった」、「引継ぎのノウハウが共有されない」、「おはなし会が出来ない」、「イベントを開催しろという会社の方針があった」、「委託で職員を採用する際に司書資格が無くでも採用してしまう」、「更新毎に雇用とノウハウがリセットされてしまう」という内容のエピソードが語られました。

そして全体の最後として、組合の委員長を会場全体で激励するという流れで「練馬区の図書館専門員ってなーに?」は締め括られました。

以上が、「練馬区の図書館専門員ってなーに?」に参加しての内容的なレポートになります。私自身、過去に図書館で働いていた身として様々な想いを抱きましたが、所感の方はまた次回の記事にアップしようと思っています。

【二年前に書いたもの】(仮)地域の図書館職員の役割

またしても久しぶりの更新になります。

今回はまだレポートが終わっていない第20回図書館総合展の続きではなく、少し前に書いた文章を載せてみたいと思います。

実は、2年前に某所の司書の試験を受けていて、そこの課題が約1500字の作文でした。私としては随分と気合を入れて一生懸命書いたつもりだったのですが書類も通過せずという有様でした。で、ですね、一昨日からインフルエンザに罹患してしまいました。体調の方はすっかり良くなったのですが、まだしばらくは他の人に感染させる恐れがあるということでしばらくは出勤が出来ない、ということでいそいそと部屋の整理をしていたら、上の作文を久々に読み返す機会がありまして、せっかくなのでこのブログに載せておきたいと思いました。テーマは「地域における図書館員の在り方」とか、そういうニュアンスのものです。当時の私なりに一生懸命書いたので、またそれなりに頑張ってる感もある文章なので、せっかくなのでこの場で公開しておきます。

【以下から作文】

地域の読書活動推進に必要な図書館員の役割とは、「場としての図書館」と「本や情報を利用・活用するための図書館」、この二つを軸としたサービスを推し進め、また持続させることだと考える。そのことを通じて、本や情報を、地域の人々にとって身近に感じてもらうことが、読書活動推進の大きな役目を果たすのではないか。では、二つの軸について具体例を挙げ詳述していく。

「場としての図書館」とは、人と情報が、情報と情報が、人と人とが繋がる「場」である。読書会や回想法、ビブリオバトルやブックスタートなどのイベントを行うことにより、「繋がる場」としての図書館を機能させていくことが必要である。そのような「場」において、本は非常に有効なツールである。その点についてはLibrary of the Year2011年の大賞を受賞した長野県小布施立町立図書館まちとしょテラソの取り組みは示唆に富んでいる(1)。まちとしょテラソでの一箱古本市の開催や(2)、「小布施まちじゅう図書館構想」(3)など、図書館がその枠を飛び出し本のある空間を拡張する試みがなされている。その活動について猪谷千香は「『交流と創造を楽しむ文化の拠点』として機能し」ていると指摘している(4)

繋がる「場」としての図書館を拡充させていくことにより、人と情報が、情報と情報が、そして人と人とが繋がり、地域の読書活動推進に結びつくのではないか。

次に「本や情報を利用・活用するための図書館」について述べる。端的に言ってしまえば、デジタルアーカイブという視点から、図書館資料を収集・保存・公開することである。その一例が図書館の電子書籍貸出サービスである。札幌市中央図書館の淺野隆夫は「図書館における電子図書館サービスの事例」(5)の中で、

事実上一点ものが多い地域・行政資料を電子化し、検索機能もしっかりつけることで保存と活用が進むこと、地域の住民の情報発信のプラットフォームとしても使えることから電子書籍貸出サービスが、札幌をキーワードとしたさまざまな資料を安定的に保存し、ネットの力を利用して積極的に発信・PRできることがわかった

と述べている。同論の中で昭和25年発行以来60年分の「広報さっぽろ」などを電子化したとあり、「変わるもの変わらないものの対比も実に興味深い」(6)という所感が寄せられていることから、一般的に埋もれがちな地域・行政資料の利用・活用に有効なことが示されている。このように、情報へアクセスする新たなツールとしての電子書籍貸出サービスを導入することが、地域の読書活動推進の一助となるのではないか。

また、地域の情報をWikipedia上に編集するイベント、ウィキペディアタウンも「本や情報を利用・活用するための図書館」としての機能を果たすと考えられることも付記しておく。

以上、図書館サービスを二つの視点から述べてきた。その上で図書館職員の役割についてあらためて考えてみたい。上記のサービスを提供するには人や資金や情報といったリソースが必要不可欠である。図書館職員には、これらのリソースを繋ぎ、活用し、振り分けるコーディネーターとしての役割が求められる。そして様々なリソースのハブとなり、「場としての図書館」と「本や情報を利用・活用するための図書館」という二つの軸で図書館サービスを推し進め、持続させていくこと、そのことが地域の読書活動推進に必要な図書館職員の役割だと考える。

(1)まちとしょテラソの受賞については  http://www.iri-net.org/loy/loy2011.htmlを参照(2017/09/05アクセス)まちとしょテラソでの一箱古本市の様子については『はなぼん』(花井裕一郎・文屋・2013年1月)の156p-157pを参照

(2) http://machitoshoterrasow.com/pg675.html  (2017/09/05アクセス)。また『つながる図書館』(猪谷千香・筑摩書房・2014年1月)56pにも記述がある。

(3)『つながる図書館』(猪谷千香・筑摩書房・2014年1月)59p

(4)『デジタルアーカイブとは何か―理論と実践―』(岡本真/柳与志夫責任編集・勉誠出版・2015年6月)所収

(5)同上、121p

(6)同上、123p

【以上になります】

 

久々に読み返してみましたが、今現在の自分とあまりスタンスがぶれていない事が一つの発見でした。

何かご意見等ありましたら、よろしくお願い致します。

 

先日、三越本店の近くにたまたま行く機会があったので写真を撮ってきました。