図書館司書の転職レポート

図書館
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2018年4月をもって図書館業界から異業種へと転職する運びとなりました。

そこで、転職に至った理由、転職活動をしてみて考えたことや感じたこと、どのように転職活動を行ったのか、そして図書館業界から離れて思ったことを記録に残しておきたいと思います。

この転職レポートが、図書館業界から転職しようと考えている方、また他の業種でも転職を考えている方、図書館業界の実状に関心がある方、そんな方々の参考になればと思います。

転職の理由

転職の最大の理由は、これから自分が結婚、また家庭を持つことを視野に入れた時に、それに見合うだけの経済的基盤を築くことが現況のままでは難しいと判断したことです。

また、現況の中で正規雇用への道があったとしても、そのポストを得ることがいつになるのかも見通しが持てない状況で、年齢的なことを考慮した時に、流石にもう猶予が無いと思ったことも理由として挙げられます。

直近の2年8か月は、公共図書館の運営を受託するNPOで現場の管理職として働いてきました。自分一人が食べていく分には何とかなる。しかし、先に書いたように今後のことお視野に入れた時には、厳しいと言える待遇ではありました。

そんな状況下にいたのは下積みの意識もあったことも事実です。社会人としてのスタートが遅かったから、また望んでいる業界で働けているから多少の待遇の悪さは仕方がない、そんな思いもありました。

もちろん、そんな状況でも正規雇用で働きたいという気持はありました。正規の図書館司書の募集があれば館種・場所を問わず書類を出し、試験を受けてみたのですが、箸にも棒にも引っかからないという状況……。流石にこのままではまずいと思い続けていた中で、自分自身が一つの区切りを迎える年齢になることもあって、転職を決意した次第です。

また、本音では一向にチャンスの巡ってこない状況への苛立ちもありました。大卒、働き盛りの30代の男性、意欲もある、そんな人間が人並みの待遇のポストを得るどころか、書類選考の段階で簡単に弾かれてしまうという……。道を抉じ開けられなかった自分自身への苛立ち、そして正規雇用の数が圧倒的に少ない現状という図書館業界への苛立ち、それぞれへの思いが強くあったというところでしょうか。

最初は司書資格を持たないカウンター業務委託のアルバイトとしてのスタートでした。図書館に携わる仕事に関わって4年余り。図書館の仕事で飯を食べていきたいと思っていましたが、そんな希望とも訣別する時がやってきたわけです。

転職に当たって設定した条件

転職することを決意したのが2017年の終わり頃、その際に以下の4つの条件を自分自身の中で設定しました。

  • 図書館という枠組みを外すこと

今までは図書館での正規雇用ありきという考え方でした。しかし、その考え方のままで一向に埒が明かない。そこで考え方を反転させて、今まで以上に稼ぐことを念頭に置いて転職するよう、働く上での優先順位を設定し直しました。

図書館職員としての正規雇用といっても、公共、大学、学校、専門など様々な図書館があります。それぞれが違う法律で規定されているように、館種によって求められるスキルや専門性も異なってきます。それらを正規雇用員という枠組みで括ってしまうのは、少し乱暴なのではないかという思いもありました。

  • 2018年の4月1日からは新しい職場で働くこと

無理にでも期限を設定することによって、逆算する形になり、スケジュールが組み立てやすくなります。また、自分自身に良い意味でプレッシャーを与えることも出来ると考えました。以前は、図書館職員の正規雇用の求人が出る度に応募していましたが、その都度その都度ではなく、この時期に転職する前提で物事を運ぼうという目論見がありました。自分自身を完全に「転職する」という状態にもっていくということです。

  • 年収を今現在より下げないこと

転職しようと決意した理由を考えれば当然のことです。

  • 頑張っただけの見返りがあること

それは、今まで図書館職員として非正規雇用という条件で働いてきた中で、働くこと自体のモチベーションに関わる問題でした。図書館で働いている中で、例えばイベント開催といった業務は増えていく。そんな中で自分自身がスキルアップしていっても、昇給等の見返りがないことが、働く上でのモチベーションに決して少なくはない影響を与えていました。

どのように転職活動を行ったか

では実際にどのように転職活動を進めていったのか、それは至ってオーソドックスな流れかと思います。

転職サイトに登録して転職活動を進めました。その際には、詳細な職務経歴書や自己PR、Web履歴書なども必要になってきますが、そういったものを自分なりにしっかりと書き、転職サイトに登録を行いました。

時には身近な人やハローワークの人に相談に乗ってもらいながら、様々な求人に応募していったという流れです。

そこで大変だったのは、自分自身がどういった業種で働くのかを決める事でした。転職を決意し期限を設定しても、「図書館という枠組み」を外してみた時に自分自身がどんな仕事に就くのがよいのか、そこから模索する必要があったのです。

それは、私から「図書館という枠組み」を外してみた時に、何が残り、何が強みになるかを検証する過程でもあ。

企画・広報、大学職員、出版社、営業…。様々な業種に応募しましたが、自分自身の中で模索しながら、また周りの人の意見も参考にしながらの手探りの日々でした。

転職活動の結果

転職活動が実を結び、結果的に社会福祉の仕事に就くことになりました。福祉の仕事というと「給料が安い」というイメージがあるかもしれませんが、私が転職サイトを見ていた感覚では「思ったよりも安くはない」という範疇でした。また、もちろん賞与や住宅手当等もあります。一般的な企業に比べれば安いと思うのかもしれませんが、図書館職員として非正規で働いていたことを考えればずっと恵まれています。

また、私自身の性格や特長を考えても、福祉の仕事は向いているのではないかという感触があったことも大きな理由です。

そして、結果的に2018年4月1日から新しい職場に移ることが出来ました。

転職活動を始めるに当たっての不安

図書館司書からの転職活動は、自分にとって非常によい経験となったと感じています。まずは自分の中で視野が大きく広がりました、また、自分自身を転職市場という場に出したことで知ることが出来たことも多く、そこにも意義があったと感じています。

転職活動を始めるまでは、不安を感じていました。自分は学生時代にいわゆる「就活」をしっかり行っていなかったこともあり、就職活動全般について未知数な感触があったことが、尚更に不安を強くしていたのではないかと思います。また、過去に正規雇用員として働いた経験がない、そのことも不安を煽る一因でした。

しかし転職活動を始めてみて、思っていた以上に手応えがありました。転職サイトを通じて、様々な求人に応募をしたのですが、そのうちの幾つかが書類選考を通過したのです。業種は広報、営業、福祉と様々でしたが、そのことは大きな自信になりました。エントリーシートが評価された、志望動機が上手く相手に伝わっていた、学歴が評価された、今までの来歴が評価された、その業種では売手市場だった……。様々な理由があったとは思いますが、転職活動を始めた当初に感じていた不安は少しずつ解消されていきました。

今までは多くの正規雇用の司書の求人に応募していて、ことごとく書類選考を通過することが出来ませんでした。そんな状況だったので、面接選考の段階まで行ける、そのことが自信を与えてくれました。自分の年齢や職歴を考えて少し悲観的になっていたところもあったのですが、それらの不安は良い意味で裏切られました。

転職活動で得たものと、図書館司書の待遇について

社会には様々な仕事がある、そのことに気付かされたことに大きな意義がありました。図書館業界だけが世界ではないし、今まで図書館でしか働いたことがないからといって図書館にこだわることはない、そんなことを改めて気付かされた思いです。

図書館業界も言ってしまえば一つのローカルな業界であり、そこに固執していた自分自身の姿を発見できたこと、また外の世界に出てもやっていけるかもしれない、そう実感できたことは大きな収穫でした。

私自身の年収が低過ぎるという現実も目の当たりにしました。転職サイトの求人には年収や各種手当等が詳しく記されているのですが、自分自身が働いていた待遇と突き合わせてみた時に、非正規雇用の現実の厳しさに目を覆いたくなりました。

非正規とは言え管理職として働いていたにも関わらず、流石にこの年収では辛いと実感しました。直近で私が働いていたところがどうこうというわけでは決してなく、あくまでも図書館業界全体の問題として実感しているところです。

求人要項の「給与は規定による」という記載について思うこと

司書の正規雇用員の求人が出ても、給与の面では「規定による」としか書かれていないことが多いと思います。転職活動を通して、「給与は規定による」という記載は、フェアではないと思うようになりました。

私が結果的に転職した組織での面接時のエピソードです。「年収を今現在より下げない」という考えを伝えました。すると面接官が電卓を取り出し、基本給が幾ら、各種手当が幾らとその場で計算をして、大まかな給与の額を示してくれました。シビアだなあと思う反面で、働くということはこれくらいお金に対してシビアでないといけないと感じた場面でした。

今の図書館業界では「正規雇用員の司書」というだけで応募は多数あるとは思いますが、「給与は規定による」と書いて具体的な額を提示しないことは、いかがなものなのでしょうか?

自分自身を転職市場という場に出してみる

自分自身を転職市場という場に出してみる、それは一つの気付きを得られる良い機会だと思いました。先にも書いたように、図書館という枠組みを外してみた時に、何が残り、何が強みになるかを検証する過程は、自分を見つめ直すことが出来た良い機会だったと思います。

また、図書館業界に対してのイメージを知ることが出来たのも新しい気付きでした。図書館で働いていると伝えると、必ずと言っていいほど「本がお好きなんですね」と言われます。自分自身が思っていた以上に、図書館司書に対してそのようなイメージが根強いのだと実感させられました。

まとめ

先にも書いたように私は学生時代にきちんと就職活動をしたことがありません。そのことを補うという意味で、今回の転職活動は大きな意味があったと思います。

新卒の頃とは違ってネームバリューのあるところには入れなかったかもしれません。学生だった期間が長いこともあり「失われた年月」のようなものがあるのかもしれません。

しかし、自分はこの選択肢を積極的に選び取ったし、そのためには今までのプロセスが必要だった、そう思っています。

長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

この転職レポートが、読んでくださった方の参考になれば幸いです。

コメント

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